2022年10月6日(木)

ブルキナファソ見聞録

2014年2月14日

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岡田綾 (おかだ・あや)

JICA職員

1982年兵庫県西宮市生まれ。小学校6年生のときに阪神・淡路大震災を経験。2005年京都大学文学部社会学科、2007年同大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻修士課程修了。環境やコミュニティ防災について学ぶ。就職活動では、「その人自身のせいではないが、理不尽な境遇におかれてしまった人のために仕事をしたい」と考え、他の関心事項であった「途上国・国際協力」も満たす組織として、独立行政法人国際協力機構(JICA)を志望し、2007年入構。地球環境部、広報室などを経て、アフリカ勤務を希望し、2012年12月よりブルキナファソ事務所に赴任。

 調理後の見た目が変わらないならば、味の良い方が良いだろう。飲食店などに売り込んでいくにはこの品種が良いのではないか。これまでの習慣や作りやすさで栽培品種を決めていたが、市場により受け入れられる品種を作って行こうという雰囲気が芽生えたのを感じた。

変わること、変わらないこと
そのベストバランスを

 この7品種を試験栽培している期間、関係する農家による農地研修が3度行われた。生育段階に応じた農地での観察。試食会には研修に参加していない近隣農家もいたので、参加者からは、研修で学んだこととして、どう種を播けば良いか、間隔はどの程度必要かなど収量を増やす栽培技術を学んだとの紹介があった。その中で、1人の農家が「どう観察すれば良いかを学んだ」と語った。一般的な栽培技術の知識を増やすというだけでなく、実際の農地を見て、どこをどう観察すれば良いか、その結果発見した状態に応じてどう対処すれば良いか、教科書通りに行くことのない農業において、自然とよりうまく付き合う方法を見つけたのだな、と思った。

試食後の、木陰での議論

 7品種を比較しながら栽培して、同時に食べ比べて、同じ農家仲間と意見交換して、市場のニーズに合った品種とは何かを考える試食会。彼らにも新たな発見のある試食会だっただろうし、私達にもブルキナファソの人々の嗜好の一面を知る機会になった。農家としての作物の好みは、自分の好みはもちろん、それを食べる人々の好みも考えながら作り上げられる。消費者の好みに意識が及ぶか否かで選択するものも結果も変わる。

 こうして試行錯誤してみることが、実は彼らの食生活や食文化を変えることになるのかもしれない。少々飛躍するが、農家の生計向上を目指して様々な事業を展開していけば、収入が増えた農家はトーを捨てて、もっとおいしい何かに走り、そうしてトーという食文化が消えてしまうことになるのだろうか。いや、時代とともに食も生活も変わるのは当然で、人々がより望む状態へ変わっていくことが大切なのか。開発の世界にいると、変わらないことへの批判も、変わることへの批判も両方耳にする。どちらかを選ばなければならない問題ではなく、そのベストバランスを見つけるのが、開発の仕事だ、と食の変化を思いながら自問自答した。

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