2024年7月16日(火)

ペコペコ・サラリーマン哲学

2009年5月12日

本当の弱さを見せれば「トク」をする

 こんなこともありました。ある工場の45億円の新規投資を半分にしようという経営方針を専務が出したときのことです。この専務がその工場に方針を説明しにいくことになったのですが、社長がなぜか「役に立たないかもしれないが、金児経理部長を連れていったらどうか」と言いました。

 そもそもこの専務は技術畑で、私は経理畑。ラインが違うので、正確には私の上司ではないのですが、社長命令だから仕方ありません。わけもわからずついていきました。

 工場に着くと、事業部長・研究所長・工場長以下数十人との大会議が開かれました。その前で専務はこう言いました。「私は販売も分かっているが技術もわかっている。投資は必要だというみなさんの気持ちはわかるが、横にいるこの経理部長が、それはいまの景気下では危ないんじゃないかと言って聞かないんだ」

 そして突然、「カネコ君、ところでこの製品の5年間の毎年の成長率はここにあるが、5年間の平均成長率を計算してくれたまえ」と言ったのです。

 私は慌てに慌てました。あたふたしながら計算したのですが、15分もかかってしまいました。logをかんたんに計算できる計算機の存在も知らなかったのです。すると専務はみんなの前でこう言ってのけました。「経理部長が5年間の平均成長率を計算するのに、15分もかかるようではこの会社はつぶれちゃうな」

 その後もあちこち連れて行ってはこう言いました。「俺はいいと思うけど、金児君が固くて、設備投資額を減らせと言って聞かないんだ。でもこの経理部長は平均成長率を計算するのに15分もかかる。当社の経理部はレベル低いなぁ。しかし、所詮経理・財務だからしょうがないか」

 私みたいな仕事のできない経理・財務でも○○とハサミは使いようで、思わぬうまい使い方があると判断して、あちこち連れて行ってくれたのでしょう。そして、そのたびに披露される「経理部長は平均成長率の計算ができない」のエピソードは(専務はただ単純に自分の快楽のために言っていたと思いますが)、思いがけないことに、私に対して良い効果をもたらしました。

 なぜなら私は、専務のおかげで、計算もできないケチな経理部長として、グループのなかで、ものすごく"有名"("悪名"?)になったからです。

 「あの投資信託を1円も買わないケチな経理部長は、logの計算もできないらしい……」


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