2025年1月13日(月)

BBC News

2025年1月13日

カリフォルニア州ロサンゼルス周辺の森林火災について、現地の気象当局は12日、火勢をあおった強風が今週、再び強まると警告した。消防当局は、3つの山火事について鎮圧作業を続けている。

ロサンゼルス郡検視官は12日、24人の死亡を確認したと発表した。16人は「イートン火災」で、8人は「パリセーズ火災」で犠牲になったという。

現地当局によると、さらに16人が消息不明という。

当局によると、週末にかけて風の勢いはしばし穏やかになったものの、12日夜からは「サンタ・アナの風」と呼ばれる乾燥した風の勢いが再び強くなり、最大時速60マイル(約96キロ)に達すると警告した。

ロサンゼルス市の両端で燃え続ける「パリセーズ火災」と「イートン火災」については、鎮圧への進展がみられている。アメリカ国内の他の8州をはじめ、カナダ、メキシコの支援消防隊が地元の消火活動を支援している。

当局は、救助隊が探知犬を使って被災地の捜索を進めるのに伴い、死者数が増える可能性があると警告している。

ロサンゼルス周辺で、最も広い範囲で燃えているのは「パリセーズ火災」で、これまでに約93平方キロを焼失し、11%が鎮圧している。

2番目に大きい「イートン火災」では、約57平方キロが焼失し、27%が鎮圧している。

「ハースト火災」では、約3平方キロが焼失し、ほぼ完全に鎮圧された。

火災の鎮圧作業が進む一方で、当局は今後の風の影響で「壊滅的な状況になり得る」と警告。ロサンゼルス郡全体が危険な事態になるおそれもあるという。

パサデナ消防本部のチャド・オーガスティン本部長はBBCに対し、「残念ながら今から15日にかけて、風によって壊滅的な状況になり得る。厳戒態勢に戻るおそれがある。風のピークは14日の見込みだ」と述べた。

「一定の進展はあるものの、終わりはまだまだ遠い」と、本部長は話した。

ロサンゼルス市のクリスティン・クロウリー消防本部長は、避難対象区域の近くに住む住民に対し、避難命令に備えて準備を整え、消防隊の活動を妨げないよう可能な限り道路を避けるよう呼びかけた。

トパンガ・バレーに住むアリス・フスムさん(67)は、BBCに対し、夜間にこの地域で発生した新たな火災が迅速に抑えられたが、自分や近隣住民は風速が最高に達すると予想される14日を「恐れている」と述べた。

フスムさんは避難命令が出ているものの自宅にとどまっており、現在の予報は「(数日前の)時速100マイルの突風よりはまし」だと話す。

12日には複数の火事が新たに発生し、サンフェルナンド・バレーや、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所(JPL)の近くに住むコミュニティを脅かしている。

JPL周辺に広がるエンジェルス国立森林公園はアメリカの航空宇宙産業の中心地で、多数の機密技術が開発されている。消防当局は12日、この地区での延焼を素早く食い止めた。

避難区域で略奪

強制避難命令が出されている区域では略奪が起きており、少なくとも29人が逮捕されている。避難者から物を盗もうと、消防士を装った2人が捕まった。

ロサンゼルス郡のロバート・ルナ保安官は12日の記者会見で、すでに400人を現場に派遣しているが、体制強化のため州兵の増派を要請したと述べた。カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は州兵1000人を追加派遣すると発表した。

ルナ保安官は、「マリブで消防士らしき男性を見かけた。座り込んでいたので、大丈夫かと声をかけた。手錠をかけられているとは気がつかなかった」と、記者団に語った。

「消防士のような格好をしていたが消防士ではなかったので、ロサンゼルス市警に引き渡した。民家に盗みに入って捕まったばかりのところだった。最前線で活動する我が郡の保安官代理や警官は、こうした問題に対処している」

南カリフォルニア地域には現在、1万4000人の消防士が派遣され、航空機84機と消防車1354台が支援していると、ルナ保安官は述べた。

避難対象者は減少しているが、現在も住民約10万5000人に強制避難命令が、8万7000人に避難勧告が出されている。

連邦緊急事態管理庁(FEMA)ディーン・クリスウェル長官は12日、現場にはまだ重大な脅威が残ると米CNNに語った。

「多くの人が当該地域に戻り、自分の家を確認したいと思っているのは理解している。ですが、風が再び強まっており、どちらの方向に吹くかはわからない」

ロサンゼルス市警のジム・マクドネル本部長は、先週末には、避難者の現場への立ち入りを限定的に認めていたが、全住民の帰還を再び禁止していると述べた。

当局は、ドローン(無人機)使用者に対し、延焼地域の周辺でドローンを飛ばさないよう繰り返し指示している。現場で活動する航空機にドローン1機が衝突した事案について、当局は情報を求めている。

9日には効率的な消火活動で世界有数の能力をもつ航空機「スーパースクーパー 」が小型ドローンと衝突し、飛行を一時停止した。米連邦捜査局(FBI)はこのドローンの画像を公開した。

ドローンの衝突で、航空機には縦8センチ横15センチの穴が開いた。

当局はまた、山火事の被害者をだまそうとする詐欺師に対し、便乗値上げがみつかった全員が訴追されることになると、厳しく警告した。

こうした中、ニューサム州知事(民主党)と、ドナルド・トランプ次期大統領の口論が続いている。

20日に大統領に就任するトランプ氏は、ニューサム知事から山火事現場の視察に招かれている。トランプ氏は11日、「無能な」政治家たちのせいで「我が国史上最悪規模の大惨事」が起きたと非難した。

ニューサム氏は、トランプ氏が山火事について誤った情報を拡散していると反論した。

12日放送の米NBCのインタビューの中で、ニューサム氏は、トランプ氏の虚偽の主張は「許しがたい」ものだと述べた。

(追加取材:リーガン・モリス)

(英語記事 LA fires death toll rises to 24 as high winds expected

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/czdl1mdvrq1o


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