2025年1月16日(木)

BBC News

2025年1月16日

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が捜査当局に拘束されたことに、同国の国民らはさまざまに反応している。拘束の原因となった尹氏の非常戒厳の宣布と、その後の国会での弾劾をめぐり、同国ではすでに国民に深い分断が生じていたが、それが一段と鮮明になっている。

ソウルの大統領公邸の外では15日朝、尹氏が拘束されたとの報道が流れると、支持者だという女性が涙を流しながら「この国は危機にある」と言った。

「安定した平和な韓国を、昨夜から祈り続けていた」

拘束のために出動した3000人規模の警官隊と、尹氏の支持者らがもみ合う場面も見られた。

「私たちをばかな極右と呼ぶな」という支持者の叫び声が、この一団のいら立ちを反映していた。

一方、通りの反対側では、まったく異なる光景が繰り広げられていた。

以前から尹氏の拘束を求めていた反大統領派が、かけ声と歓声で拘束を祝った。

その歓喜が、大統領支持派の怒りをいっそう拡大させた。「ばかにするな。笑いごとなんかじゃない」と声を張り上げる人もいた。

「国のリーダーの拘束は筋が通らない」と訴える人もいた。

これに対しては、「拘束令状の執行は必要な措置だ。尹はこの国の民主主義を弱体化させようとした」と反論の声が飛んでいた。

1カ月間続いたデモ

国民のこうした隔たりは、この場所に限ったことではない。韓国全体で、1カ月以上にわたって見られている。

昨年12月3日に尹氏が非常戒厳を出すと、世論は瞬く間に二分した。韓国が脅威にさらされているという尹氏の主張を信じる人もいたが、より多くの人は、尹氏が機を見て権力を乱用したと考えた。

尹氏が同4日に非常戒厳を解除し、公邸にこもると、そのすぐ外で支持者と反対派の両方がデモ行動を繰り広げた。デモはその後、1カ月にわたって続いた。

拘束前日の14日夜には、気温がマイナス8度まで下がるなか、両勢力の合わせて数百人が夜通しとどまった。双方に唯一共通していたのが、屋台の熱い飲み物やインスタントラーメンで暖をとるということだった。

尹氏が捜査当局に拘束され、大統領公邸を出ると、周囲の通りからは人影が消えた。デモ参加者は立ち去り、警察のバリケードも撤去された。

支持者の一部は、尹氏が取り調べを受けている高位公職者犯罪捜査庁(CIO)の庁舎前に移動した。

尹氏は拘束後、CIOで取り調べを受けている。今後、逮捕令状が出されて拘束が延長されるか、発布されずに釈放されかのどちらかとなる。

尹氏が今後どうなるにせよ、韓国政治の特徴となった二極化は、今後も続くと懸念されている。

(英語記事 'My country is in crisis': A divided South Korea grapples with Yoon's arrest

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvgm7ep3nppo


新着記事

»もっと見る