2025年1月15日(水)

WEDGE REPORT

2025年1月15日

 1月15日午前10時33分、韓国の尹錫悦大統領が内乱首謀の容疑で、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)と警察で構成する合同捜査本部に逮捕された。3日にも逮捕が試みられたが、大統領警護処に阻まれ断念。2度目の出動に、尹大統領は屈した。現職大統領の身柄を拘束したのは、韓国史上はじめてのことになる。

逮捕を前に国民へ談話を発表した尹大統領(South Korean Presidential Office/AP/アフロ)

 尹大統領は大統領室が置かれる龍山基地ではなく、ソウル市内の小高い丘にある大統領官邸にこもり、大統領警護処とそれを支援する陸軍が警備していた。警護処の約300人が官邸内部を守り、陸軍首都防衛司令部第55警備団の約500人と同第33軍事警察警護隊約200人が外周を固めた。

 対する合同捜査本部は、首都圏広域捜査団約1000人、機動隊約3200人を投入し、障害物除去班、制圧班、逮捕捜索班の編成で逮捕に臨んだ。この日の気温はマイナス6度だった。

 これまで大統領警護処のトップには大統領の最側近が就任し、警護官も公務員中最も厳しい基準で選抜されていた。いわば、警護処の職員は公務員ヒエラルキーの最上位に位置する。これら忠誠を尽くすエリートが守る大統領を逮捕することは、当初から困難と予測され、任務遂行中の公務員同士の物理的な衝突も懸念されていた。

 尹大統領逮捕について、韓国世論は完全に割れているが、「内戦勃発」とまでいわれた最悪の事態は回避されたといえる。


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