2025年1月16日(木)

WEDGE REPORT

2025年1月15日

「不穏な流血事態を防ぐために、不法な捜査に応じる」

 尹大統領は逮捕前に収録したビデオメッセージを残しているので、全文を紹介する。

尊敬する国民の皆さん、これまでお元気でしたか。
私を応援し、多くの支持を送ってくれたことに、心より感謝の言葉を捧げます。
残念ですが、この国では法がすべて倒れました。捜査権を持たない機関に令状が発付され、また、令状審査権のない裁判所が逮捕令状と強制捜索令状を発付しました。そして、捜査機関が虚偽の公文書を発付して国民を騙すという不法が恣意的に行われ、無効な令状によって手続きを強圧的に進めることについて、慨嘆に堪えませんでした。
私はこのような不利益を受けながらも、国民の皆さんが今後このような刑事事件に見舞われることがないことを願います。私は今日、彼ら(公捜処・警察)が警護保安区域に消防装備を動員し侵入してくるのを見て、不穏な流血事態を防ぐために、不法な捜査ですが公捜処への出席に応じることにしました。
しかし、私はこの公捜処の捜査を認めるものではありません。大韓民国の憲法と法体系を守護すべき大統領として、このような不法で無効な手続きに応じることは、これを認めるものではなく、不穏な流血事態を防ぐ気持ちだけです。
国民の皆さんはこの間、特に青年たちが自由民主主義の大切さを再認識し、これに対する情熱を見せてくれたことを見て、私は、今は法が倒れ漆黒のように暗い時期ですが、この国の未来は希望的であるという考えを持つに至りました。国民の皆さん、とにかく健康でいて元気を出してください。ありがとうございます。

司法手続きの問題点

 このメッセージについて、逮捕賛成派からは、国家元首の大統領であるにも関わらず、支持者だけに向けて発したとの批判が出ている。しかし、尹大統領の主張に納得できる点もある。

 まず、「捜査権を持たない機関に令状が発付」されたことだ。

 合同捜査本部は公捜処と警察で構成されるが、公捜処は内乱罪に対する捜査権を持たないため、権限を有する職権濫用罪の関連犯罪として捜査している。そのような公捜処の検事が令状を請求し、発付された。

 次に、「令状審査権のない裁判所が逮捕令状と強制捜索令状を発付」したことだ。公捜処は大統領官邸を地理的に管轄するソウル西部地裁に請求したが、公捜処法には「公捜処の検事が起訴した事件の一審裁判はソウル中央地裁が管轄する」と定めている。そのため、与党や法律専門家などは公捜処が「令状発付に有利な裁判官を選んだ」と指摘している。


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