2025年1月16日(木)

WEDGE REPORT

2025年1月15日

 これらの指摘は、いずれも司法手続きに関するものだ。司法ではデュープロセス(適正手続の原則)が重視され、韓国憲法第12条は「法律及び適法な手続きによらず処罰を受けない」としている。今後の裁判で、デュープロセスについて疑義がもたれる可能性はある。

 尹大統領が逮捕されたことによって、韓国では、①非常戒厳の是非をめぐる憲法裁判所での大統領弾劾の審理、②一般の裁判所での内乱罪の審理――が行われることになる。しかし、すでに始まった憲法裁判所での審理では、野党側が訴追事由から内乱罪を除外したため、与党はそれでは弾劾裁判自体が成り立たないと主張している。

完全に分断された国家、どこに向かう

 あらゆる場面で整合性を重視する日本人の立場から、韓国の状況は正直に言って理解しがたい。だが、結局のところどのような結末を選ぶのかは、韓国人に委ねられている。

 「内戦勃発」を回避した韓国だが、政治と社会の分断は完全に固定化された。分断国家というフレーズはもはや対外的なものでなく、国内的なものになったといえる。自身で選んだ大統領の逮捕に拍手喝采を送る国民が過半数を占める韓国は、いったいどこに向かうのだろうか。

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