この熱き人々

2014年6月11日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 漫画に興味を持って日本ばかりか世界から学生が集い、描くことだけではなく、原作者や編集者やプロデュースに自分の適性を見出していくこともある。マンガ学科には、カートゥーンコース、ストーリーマンガコース、マンガプロデュースコース、ギャグマンガコース、キャラクターデザインコースなどさまざまな適性に対応できる陣容が整った。さらに、文章では理解しにくい情報を漫画で描く「機能マンガ」や、資料性の高い原画・原稿を精巧に複製し保存と公開につなげる「原画‘(ダッシュ)」のプロジェクトに取り組むなど、大学での可能性を最大限に求めて精力的な活躍が続く。12年には、神戸大学人文学研究科とのコラボレーションで、漫画で読むアスベスト問題「石の綿」を完成させた。

手書き原稿のリアリティを伝える「原画 ‘(ダッシュ)」の アーカイブ化を進めている。「風と木の詩」©竹宮惠子

 「創造性を持って実用漫画に取り組めばもっと違う効果が生まれるだろうというのが私の考えです。漫画にはいろいろな広がりがある。大学だからできることに挑戦したいですね」

 竹宮の行動力と突破力は、学長としてさらに大胆に盛大に発揮されるのだろう。ただひとつ、漫画家・竹宮惠子として、描けない時間が蓄積されるストレスはないのだろうか。

 「それが、意外とないんですね。やっていることは漫画を描くのと変わらないから。構想があって、コマ割りして、アピールして、締め切りもある。なかなか自由にならないことも含めて同じだなあと思う」

 竹宮の作品は、紙の上ではなく、大学という場で学生たちとともに、時間と空間と未来の中に描かれているのだと理解すると、突き抜けた笑顔が胸にすっきり落ちる。竹宮は、これまで誰も描けなかった壮大な物語を、今まさに連載中なのである。

(写真・岡本隆史)

竹宮惠子(たけみや けいこ)
1950年、徳島県生まれ。高校在学中の68年、「リンゴの罪」でデビュー。同性愛、環境問題など社会的メッセージをはらむ作品を描きベストセラーとなる。80年、「風と木の詩」「地球へ…」で小学館漫画賞を受賞。2000年、京都精華大学のマンガ学科に教授として招かれ、06年、マンガ学部の学部長に。今年4月に学長に就任した。

◆「ひととき」2014年5月号より

 

 

 

 

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