4月に消費税率が8%に引き上げられた後の人々の消費動向がどうなっているのか、気になる向きは多いだろう。3月末までにデパートやガソリンスタンドなどで駆け込み需要が急増したことがニュースとして数多く報じられたため、4月に入ったらこうした動きは急速に減るだろう、という予想は大方ついていた。実際、筆者も食料油など日持ちするものを数多く家人と買い込んだものだった。5月以降、4月の消費動向が統計として現れてきているが、細かく見てみると興味深い。
5月5日付の日経MJ(流通新聞)は、百貨店大手5社が発表した4月の売上高が、消費増税後の落ち込みを受けて全社で前年同月を下回ったと報じた。また5月26日の同紙は「パン消費伸び悩む」として3月まで堅調に消費が伸びていたパンの消費が、コメの駆け込み的な需要による買いだめのあおりを受けて減少したと報じた。
その他各紙は読売新聞や朝日新聞が5月15日付の紙面で4月のビール類の出荷量が、前年同月比21.0%減だったと報じた。消費税が3%から5%に引き上げられた97年4月は6.5%の減少だっただけに、その大きさが伺える。
増税後の消費回復は想定より早い?
一方で前向きな統計もある。5月27日付の産経新聞は日本フードサービス協会が発表した4月の外食売上高(全店ベース)の前年同月比2.3%増(税抜き比較)となり、2カ月連続で前年水準を上回ったことを報じた。同じ内容を報じた日本経済新聞によると、中でもファミリーレストランが好調で、単価の高い「肉関連メニュー」が消費を牽引したという。
5月30日に様々な経済指標が発表され、各紙がそのまとめと分析を翌日の紙面で報じているが、毎日新聞は「消費増税後の景気:雇用と物価、堅調 落ち込みも想定内」とまとめた。記事では4月に消費や生産が落ち込んだものの、雇用や物価は堅調だったことが確認されたと指摘し、企業や消費者のデフレ意識が後退している可能性を示した。
さらに6月初旬になると、5月分の統計も一部発表され始め、6月3日の日本経済新聞には「増税後消費、回復早まる」とあった。5月の新車販売台数で軽自動車が前年同月比5.3%増加したことや、主要百貨店の5月の売上高は4月に比べてマイナス幅が減少したことを紹介。「増税後の消費回復は夏ごろと見る向きが多かったが、想定よりも早まっている」との見方を示した。