2024年11月24日(日)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年3月28日

 今年の春闘では、昨年とは打って変わって多くの企業が定昇などに加えてベースアップ(ベア)にまで踏み込んだ回答を行った。新聞報道ではベースアップに応じた企業の割合は回答企業の約7割に及んでいるが、未だ景気の先行きが不透明でベースアップの回答割合が1割強であった昨年とは様変わりとなっている。

(図表1)民間主要企業春季賃上げ率
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 もっとも、ベースアップ企業が少なかった昨年でも、定昇などにより平均賃上げ率は1.80%であった。この分では、今年の民間主要企業の春闘賃上げ率は2%台が確実に期待できる伸びになったように見える(図表1)。

 消費税率引き上げを控えて、春闘の賃上げ率が高まることは増税の景気への悪影響を緩和する。5.5兆円規模の補正予算による経済対策とあわせて経済が好循環に向かうのにもプラスとなる。アベノミクスが実施されて1年余りとなるが、賃金が上がる中、官民が協調して大胆な構造改革を進める好機となる。

春闘賃上げ率は久々の好水準

 今年の春闘のベア回答が多かったとしても、それは主要大手企業についてであり、中堅中小企業は入っていない。しかし、自動車や電機など製造業中堅中小企業の労働組合が加盟する金属労協も、回答の約8割についてベア実施と発表するなど、昨年を大幅に上回る動きとなっている。

 実際、大企業に遅れつつも中堅中小企業の業績は着実に回復している。財務省の法人企業統計を見ても、企業業績は増加基調にあり、中堅中小企業も例外ではない(図表2)。

(図表2)企業規模別従業員当たり経常利益額
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