2024年11月24日(日)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年3月28日

 また、給与全体の動向についても、すでに実施された13年の夏季賞与および年末賞与は過去と比べて高い伸びとなっている。特別給与と現金給与総額が前年同月からどれだけ増えているかを見ても、2013年以降傾向的に増加している(図表3)。

(図表3)賃金の前年同月差推移
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 ちなみに、春闘の民間主要企業賃上げ率は被雇用者全体の賃金総額を示す雇用者報酬と一定の相関がある(図表4)。この関係からは、賃上げ率が3.5%になると、消費税率引き上げによる増税部分を全て賃上げで打ち返せる雇用者報酬の増加になるとの計算ができる。

(図表4)民間主要企業春季賃上げ率と雇用者報酬伸び率の推移 拡大画像表示

 もちろん、02年以降1%台に低迷してきた春闘の民間主要企業賃上げ率が、一気に1993、94年当時に並ぶ3.5%に達するとも思えない。増税部分の半分を賃上げで補うとしても、春闘の賃上げ率は97年並みの2.9%必要となる計算である。

 しかし、13年の月平均世帯当たり消費支出は、319,170円(2人以上の世帯のうち勤労者世帯、総務省「家計調査」)となっている。このうち3%分が消費税増税で吸収されるとすると、その額は9,575円/月となるが、現金給与総額は1月時点で前年同月比(3カ月移動平均)1.2万円ほど増加している。


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