2024年12月12日(木)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年1月31日

 足元の日本の景気回復は顕著だが、過去の景気回復局面と比較しても今回の景気回復は際立っている。実質GDP(図表1)はもとより、鉱工業生産、住宅着工戸数などの伸びも従来と比べてかなり高い。

図表1 各景気循環における実質GDPの推移
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 海外経済の成長は鈍く、輸出数量の拡大がないことを見ると、これは自律的な消費の持ち直しにくわえて、円安株高とアベノミクスの大胆な金融政策と機動的な財政政策が大きく効いていることを示している。また、消費や住宅着工戸数などでは、今年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要もある。

 リーマンショック後、日本経済は世界経済の落ち込みにくわえて、大震災や超円高で3回の腰折れがあった。米国の腰折れが1回だけだったことと比べると、あまりに厳しい局面が続いたということだが、ようやく新たな力強い景気拡大局面が訪れている。従来の景気循環の平均的期間から言えば、今回の景気回復は今後数年続く勢いを持っても何らおかしくない。

 もっとも、2014年の日本経済は、消費税率引き上げとともにアベノミクスの影響を差し置いて見通すことはできない。そこで、14年もアベノミクスが有効かを見ることで、今年の日本経済を見通してみたい。

継続する大胆な金融緩和策

 まず、アベノミクス「第一の矢」の大胆な金融政策だが、消費者物価上昇率(除く食料)は、13年11月にプラス1.2%となり、消費者物価を構成する品目のうち6割あまりが上昇に転じている。


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