2024年4月19日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年1月31日

企業は自立を急ぐべき

 いままで、欧米企業に比べると縮み志向が強かった日本企業にとって、14年度の経済環境は大いにプラスだ。しかし、アベノミクスの限界に鑑みると、いつまでも政府の景気下支えに期待するばかりでは遠からず景気は再び下向きになりかねず、このチャンスを逃しては現状ほどの好機再来は当面見込めないように見える。まさに、14年は民間部門が自立して経済を活性化させられるかが問われる年ということだ。

 幸い、今年は第三の矢の成長戦略が目指すグローバル化もTPPなどで進む方向にある。TPPが成立すれば、関税率が下がって貿易が促進されるだけではない。原産地規則の累積も生じる。これは、貿易品がどこの国で生産されたかを決める原産地規則について、TPP域内国で生産された部品等の付加価値割合が累積され、一定割合を超えれば域内産となる仕組みだ。

 こうなれば、日本の企業にとっては輸出しやすくなり、空洞化の歯止めにもなる。ちなみに、ドイツの優良中小企業は、差別化を旨としつつイノベーションで強い競争力を獲得し、グローバル化で世界を相手とした売り上げ増と高い市場シェアを実現している(RIETI世界の視点から「21世紀の隠れたチャンピオン」、2012年7月)。

 経済環境が劇的に改善した今こそ、日本の企業はビジネスが向こうからやってくるとの「待ちの姿勢」ではなく、差別化とグローバル化を旨としたビジネス展開を積極的に進め、自立を急がなければならない。それが、アベノミクスの限界を乗り越え、日本経済の安定成長につながる唯一の道でもある。

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