世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月1日

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 我々は、いかなる外交演説も全世界をカバーできるわけではないことは知っているが、オバマが、過去5年の行動から、首尾一貫した外交政策課題を組み立てようとしているのを聞くと、自己弁護に用いることが出来るものは、いかなるものも用いざるを得ないように見える、と述べています。

 フィナンシャル・タイムズ社説の趣旨は次の通り。

 すなわち、オバマは、米国の海外における戦争を終わらせると約束して大統領になった。オバマは、1期目で、イラクから最後の米兵を撤退させ、2期目の終わりまでには、アフガンに残っている全ての米兵を引き揚げさせるであろう。両国の18万の米兵は、8年間でゼロとなり、約束は守られる。

 しかし、何がオバマのタイムテーブルの原動力となっているかにつき、疑問が絶えない。オバマが性急にイラクから離れたがっていることは、イラクがイランの勢力圏に入る原因を作っている。そして、アフガンから完全に手を引きたいという願望は、米国が率いる同盟がアフガンでやっと手に入れた戦果を危険にさらし得る。

 明確な目標を立て、それにこだわったという点では、オバマは祝福されることになろう。しかし、ウェストポイントでの演説は、優先順位が根底にある事実よりも米国の政治によって形成されているのではないかとの疑惑を払拭するには、ほとんど役に立たなかった。同様のことは、オバマの外交政策の実施についても言える。大きな目的を立てるのは結構だが、最新の世論調査に左右されがちである。

 オバマがウェストポイントで、米国は世界で「必要不可欠な国」である、と言ったのは正しい。全ての問題が軍事的解決策を持っているわけではない、と言ったことも正しい。

 オバマは、軍事偏重の過ぎた米国を引き継ぎ、それに対処した。しかし、オバマは、しばしば、「外交的対応の不足」という罪を犯している。スピーチ一つで懐疑的な人を安心させることは出来ない。米国の同盟国の多くが、オバマの高尚な言葉と、オバマが地政学的に大きな問題へ無関心であることの間のギャップに懸念を抱いているのは正しい。オバマは、懐疑者に、米国が孤立主義をもてあそんでいるわけではないと納得させることに、少し近づいたかもしれないが、多くの大きな問題は解決されないまま残されている。

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