世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月1日

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 中国の海洋での大胆さやロシアの新帝国主義的国境画定にどう対応するか、ほとんど言及が無かった。オバマは、環太平洋、環大西洋でうまく行っていない貿易交渉について言及しなかった。しかし、オバマの努力がイランとの核交渉を進展させ得るという、真の希望がある。これは、スピーチの大きな要素である。それは、歴史的なことである。しかし、オバマが外交的課題について、もう一段あるいは二段ステップアップする用意があるということを、米国の同盟国に確信させるような内容は、ほとんどなかった。

 オバマのウェストポイントでの演説は、彼の政治家としての強さと弱さをともに示した。ほとんどの点で、オバマは、複雑で危険な世界において、米国にとって正しい目標を設定しているが、その任務を遂行する貪欲さに疑問が残る。オバマも、米国大統領として、結局は、その行動によって判定されることになろう、と述べています。

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 両社説とも、オバマの演説は内容に乏しかった、と言っています。これらを読む限り、米欧の言論界は、オバマの外交、安保政策に、最早、何の期待も持っていないと言えると思います。

 そして、両社説とも、オバマが中国についてほとんど言及しなかったことを問題視しています。オバマが演説で中国に触れているのは、「中国の経済的、軍事的台頭が、近隣国に懸念を与えている」「地域における攻撃が阻止されないままにされれば、ウクライナ南部であれ、南シナ海であれ、同盟国に影響を与え、米軍が巻き込まれ得る」「アジア太平洋では、東南アジア諸国が南シナ海での海洋紛争について中国との間で行動規範を交渉することを支持している」と言った程度で、具体的な中身は皆無に等しいと言ってよいでしょう。しかも、南シナ海への言及の中で米軍が巻き込まれることを心配するというのは、米国の力で国際規範が守られることを望んでいる、同盟国・パートナー国の期待を大きく裏切るものです。

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