英ロンドン大学キングス・カレッジのパント教授が、モディ新政権下で、米印関係は良好なものとなることが期待され、米国はモディに手を差し伸べる必要がある、と5月27日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説で述べています。
すなわち、ナレンドラ・モディの首相就任は、インドの過去の政策からの決定的な訣別となろう。有権者が与えた目覚ましい信認は、国内的のみならず、グローバルな意味を持つであろう。モディのワシントンとのこれまでの不安定な関係を懐疑的な目で見ている者もいるが、むしろ、モディは長期的に弱まって来た米印関係にとって大きなプラスとなるように思われる。
ワシントンは、2005年に、宗教の自由を深刻に侵害した外国の当局者の入国を禁止する法律により、モディのビザを取り消した。インドの司法当局が、モディに対する事案のいずれについても立証できなかったにもかかわらずである。米国は、この2月に、10年にもわたる入国禁止をようやく解除した。欧州各国は、はるか以前に解除している。
モディは、インドの選挙史上最高の得票を得たが、米印関係は不安定であり続けるように見えるかもしれない。西側が拒否した時に、彼を受け入れた、日本、イスラエル、中国のような国に対して、モディの温かい心が約束されているであろう、と示唆している戦略家もいる。モディが、オバマからの電話やケリーからのツイートについて言及するのに時間がかかったことすら、想像を掻き立てている。
オバマ政権は、モディへの対応の正常化に向けて迅速に動いた。オバマは、モディに個人的に電話をかけ、ワシントンに招いた。ケリーは、モディ首相および新政府とともに、共通の繁栄を促進し、両国の安全保障を強化するために、緊密に協力する用意がある、という声明を出して、それに続いた。
退任するマンモハン・シン首相の下、米印パートナーシップは、過去数年、勢いを失っていった。2013年12月の、ニューヨークのインド副総領事Devyani Khobragadeの逮捕と、裸にしての取り調べは、米印関係をさらに悪化させた。
米政府のインドへの態度は、多くの理由から悪化した。核に関して、裏切られたという感情がある。2008年に、米国が多くの外交資源を投入して原子力協定にこぎつけた後、インドは、事実上米国の核技術者がインドに行くことを不可能にする、原子力賠償法を通すという対応をした。インド政府の、特に中東に関する地域的安全保障問題へのスタンスも、多くの米国人に疎外感を与えた。インドは、米国が期待するような、信頼できる地域のバランサーとなることが出来なかった。