AI革命の本丸はデータセンターにある
だが、本当の問題は半導体そのものではない。本丸は、「データセンター」である。AIは膨大な計算を24時間続ける。そのため世界中で巨大データセンター建設競争が始まっている。
米国、中国、中東、インド――あらゆる国家がAIインフラを国家戦略へ格上げした。ここで再びレアメタルが必要になる。
なぜならデータセンターとは、「金属の塊」だからである。
AI革命は「銅の時代」を呼び戻す
AIデータセンターでは莫大な銅が必要になる。
- 送電線
- 変圧器
- 冷却装置
- 高電流ケーブル
全て銅である。私は長年レアメタルを扱ってきたが、最後に文明を支えるのは結局「銅」だと感じることが多い。
AI革命は、皮肉にも古典的資源の重要性を再び高めている。しかも問題は、世界が既に銅不足へ向かっていることだ。新規鉱山開発は環境規制で停滞し、鉱石品位は低下し、投資回収期間は長期化している。
ところがAIだけは待ってくれない。この矛盾こそが、今後の資源価格高騰の火種になる。
本当に危ないのは送電網である
世間は半導体不足ばかり議論している。しかし、現場感覚で言えば本当に危ないのは、「送電網」である。
AI革命によって世界の電力需要は急増している。その結果、変圧器不足、高圧ケーブル不足、発電設備不足、電力インフラ老朽化が世界中で始まっている。
特に米国では、送電網建設の遅れが深刻化している。AIサーバーを置きたくても、電力が来ないのである。
これは象徴的だ。人類は今、「情報不足」ではなく、「電力不足」に直面し始めているのである。
モーターと磁石がAI文明を支える
もう一つ重要なのが、高効率モーターである。AI時代は電力不足時代でもある。だから世界は必死に省電力化を進めている。
そこで必要になるのが高性能モーターであり、その核心にあるのがNdFeB磁石、すなわちネオジム磁石である。
この磁石は、佐川眞人博士が発明した。私は前回、「佐川博士の発明は世界を変えた」と書いた(『EV革命の陰で進む「静かな磁石戦争」佐川眞人博士の発明と、中国が握ったレアアース覇権』)。本当にそう思う。
なぜなら現代文明は、EV、ロボット、ドローン、風力発電、AI冷却設備、半導体製造装置の全てが、ネオジム磁石無しには成立しないからである。
