2026年9月28日(月)

プーチンのロシア

2026年9月28日

ロシアによるハイブリッド攻撃と欧米の対応

 ロシアにとっては、戦況が必ずしも有利ではなく、外交においてもトランプ政権が頼りにはならなくなっている。この局面を打開するためにプーチン政権はウクライナ支援を継続している欧州各国へのハイブリッド攻撃を強化している。

 英国等に対する外交的圧力、バルト三国、ポーランド、ルーマニア、モルドバといったウクライナ周辺国に対するドローンによる領空・領海侵犯、各国の経済・社会インフラに対するテロ活動やサイバー攻撃、ウクライナ向け武器を生産している独企業に対する放火等、ロシアは直接間接の行動に出ているとみられる。さらには、NATOに対するロシア軍の限定的軍事作戦の可能性までが取り沙汰されている。ロシアは、これらの活動を通じて、人々に恐怖と不信を植え付けて、欧州全体の団結を弱め、分裂を引き起こすとともに、欧州各国内でも世論の分断、世論と政府の対立をもたらそうと試みている。

 これに対して、欧州の政治家や安全保障の責任者は、ハイブリッド攻撃が強化されているのは、ロシアが焦っている証であり、恐れるのではなくて、立ち向かうべきという姿勢を見せる。具体的には、「ハイブリッド活動は、通常の力の行使によらない一種の戦争」(9月16日 欧州議会決議)であり、看過できない活動を「レッド・ライン」としてロシアに明示的に警告すべきであると主張するとともに、今こそ、ウクライナの同志国は、団結を維持・強化して、ウクライナ支援を一層拡大するとともに、対露制裁を強化すべきと訴えている。

 その甲斐もあって、9月18日、待望の米国による新しい対露制裁法(リンゼー・グラム・ロシア・イラン法)が成立し、同22日、欧州連合(EU)も現行制裁を29年9月まで延長した。

見えてくる対日圧力の正体

 以上の構図の中に改めてロシアの対日言動を当てはめてみる時、ロシアの意図が明らかとなる。

 日本側は、ロシア人訪日観光客の便宜のためのビザセンターをモスクワとサンクトペテルブルグに開設(2月)、官民代表団のモスクワ派遣(5月)、日本人学生のサンクトペテルブルグ短期派遣の再開(8月)と、隣国ロシアとの間で一定の関係を維持しようと善意の外交姿勢を見せている。しかし、ロシアはこれを逆手に取って、ウクライナ同志国の中で日本を弱い環と見て、冒頭に述べたような強硬な言動で圧力をかけ、世論を分断し、ウクライナ支援や対露制裁の緩和につなげようとしている。

 第二次世界大戦後の国際社会の法の支配に違反してロシアが始めたウクライナに対する全面的侵略戦争は、戦場における膠着状態を背景にして、停戦外交の再開へ向けた重大な局面を今、迎えている。

 我が国は、毅然としてロシアの揺さぶりに屈せず、欧米等の同志国としっかりと連帯して、高市早苗首相が22日、ニューヨークの国連総会の際の初の首脳会談でゼレンスキー大統領に対して表明したように、ウクライナ支援と対露制裁を続けるべきである。

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