山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2014年9月16日

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 例えば、半導体メーカーTSMC(台湾・セミコンダクター・マニュファクチャリング)は、世界の半導体受託生産(OEM)で、2013年に46.3%のトップシェアとなった。スマホ分野では世界シェアが8割に達したというから驚きである。その秘密は技術力と生産能力の高さに特化したことだが、特に重要なのはスマホ分野の寡占化に対応してグローバルシフトを敷いたことだ。一切の自社ブランドは持たないOEMメーカーとしての強みを発揮しているうちに、今や米国のインテルを凌駕したといっても過言ではない。

 また、台湾の強みをグローバルに生かし、中国の脅威をかわしながら逆に中国市場を取り込んでいく発想について劉さんは話してくれた。わずか2400万人の人口の台湾人が、今や100万人以上の規模で中国大陸に渡って仕事をしている。日本人なら大陸への長期滞在者数ではせいぜい14万人である。

 そこで今、急増しているのが日本企業の台湾企業活用型対中投資である。日本企業は台湾でのOEM生産は増える一方だが、大陸への投資は危険だと考えている。そこで台湾企業を活用した迂回投資が増えているわけだ。そのメリットは台湾企業の人脈やノウハウの利用、台湾人従業員の活用で中国における労務管理や、政府機関との軋轢が回避されることだ。この問題は、実際に中国で合弁を立ち上げた人にしか分からない悩みである。

 劉さんは台湾に渡ってこられて、68年間も自分の信念と使命感で会社経営を続けてこられたという。今からという時に、奥さんや息子さんが他界するというご不幸を乗り越えて、多くの社員や後輩たちを支えておられるのを見ると頭が下がる思いがする。

 劉さんとの面談では多くの「気づき」を頂いた。会社の経営における成長戦略の方向付けは簡単ではないが、劉さんと話しているうちに(健康さえ問題なければ)自分もあと四半世紀は社長を続けることができるのではないかと勇気が湧いてきた次第である。

 ◆Wedge2014年9月号より









 

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