6年ぶりに台湾を訪問した。目的はこの一年急速に増加している台湾貿易の(レアメタル・レアアースの)得意先訪問であったが、今回はそれとは別に老朋友である劉建平さんに会えるのが最大の楽しみであった。これまでもそうだったが、台湾人の対日感情はいつも温かい。台北から新竹までと、新竹から台中までは台湾新幹線を利用したがそれぞれたった30分で、朝夕は10分おきに発着するというインフラの良さに驚いた。
劉建平さん(天弘化学相談役) (SHIGEO NAKAMURA)
さて、劉建平さんとは実に30年以上のお付き合いだ。今年で94歳になられたが今でも天弘化学(Uranus Chemical)の相談役として毎日朝早くから夜遅くまで現役で頑張っておられる。劉さんは1920年の湖南省湘潭県の生まれというから毛沢東主席とは同郷である(無論、劉さんの方が27歳年下である)。ついでにいうと李登輝さんより3歳年上である。劉さんは1946年に25歳の若さで国民党からの要請で技術者として台湾に渡ってこられた経歴である。その後、国営の台湾肥料に勤められ役員定年で退職されてから1983年に天弘化学を設立され今日に至っている。
当初、ケミカル(蓚酸)の対日輸入に加えてレアアース資源の開発に協力することから我が社との取引が始まった。
今回の劉さんとの意見交換では台湾産業界や中国の動向が話題になった。レアメタルやレアアースの資源問題が一服して、日本の産業界では原点に立ち戻り、研究開発から製造販売までを展開する総合的な成長モデルを志向しつつある。一方、劉さんによると産業規模の小さい台湾企業は、専門分野に特化して国際競争力を最大化させる戦略モデルを実行しているという。