2024年7月16日(火)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2009年7月30日

 なぜ日本企業の利益率が低いのか。それは、上述したように激しいグローバル競争の中で利益率が高まりにくい自動車、家電といった組立加工型の輸出産業に日本経済の成長の多くを依存していることもある。

 しかし、それだけでは非製造業企業の利益率の低さの説明にはならない。やはり、少子高齢化や賃金が上がらない中で国内市場が成熟化していて、過当競争になりやすい問題もある。

 ここに、日本企業のビジネスモデルやイノベーションの革新スピードが欧米企業に比べて遅く、収益力を高めることにつながる差別化や寡占化が出来ていないという課題も加わる。さらに、市場寡占度の高いメジャーが含まれる米国の石油産業みたいな高収益産業がないといった日本の産業構造もあるし、農業・医療などで依然として企業の自由な活動を制約する規制が多々あることもある。

 要するに、日本経済の今後の成長を考えると、産業構造や企業活力の面から見ても問題山積であり、このままでは世界経済が回復しても、日本企業の収益力が欧米企業を上回ることにはなりにくく、生産性が上がりにくい中で労働者の賃金もそう上がらない構造が続くと見ることすらできる。

付加価値の取れる産業の育成が必要

 金融危機が米国発であるにもかかわらず、そもそも低い日本企業の利益率がさらに欧米企業以上に落ち込んでいる状況では、日本企業の将来はもとより日本経済の成長回復や持続的成長ですらおぼつかなくなる。厳しい経済状況にあっては景気回復や雇用の維持が最優先課題であるが、どうすれば日本企業が高収益会社になり、日本で付加価値の高い産業を育成していくかも喫緊の課題と言える。

 高収益企業の実現が一義的には企業の努力にかかっていることは当然であろう。かつてのデフレ不況時にニッチトップ企業が競争力を発揮したように、今回も、生産原価を大きく下げたり新市場の創出などにつながる技術革新の実現、あるいは規模の利益を実現する企業買収などが期待される。


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