世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月1日

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 中国の南シナ海での埋め立てについて中止を要求したことは、適切なことです。これに対し、中国の孫建国副参謀長は、埋め立ては「中国の主権の範囲で合法」、「軍事、防衛上必要」と翌日には反論し、日米に「介入するな」と要求しました。日米と中国の間で、これからも議論は続くでしょう。

 国連海洋法上、島は満潮時にも海面上に陸地が出ているものと定義されています。満潮時に海面下にあるものをベースに埋め立てて、島であると主張してもそんなことは認められません。そのいわゆる人工島をベースに領海を主張することも、当然認められません。日米は、埋め立て前の状況を写真に撮るなど、正確に把握して置く必要がある。こういう場合には、人工島の12海里内に、海洋法上の「無害通航」以外であっても入ることは、国際法上、許容されます。

 満潮時に海面上に陸地が出ている場合は、岩か島かの問題になります。岩であれば、経済水域(EEZ)や大陸棚の権利は生じません。しかし、わずかに海面上に出ているがほぼ水没している場合はどうかなど、なお検討すべき問題がありますので、海洋法上の問題について、よく研究しておく必要があります。

 中国のものと確定している岩礁の埋め立てならば、軍事目的であろうがなかろうが、中国が「主権の行使である」と言えば、争う余地はないでしょう。係争中の岩礁について埋め立てを強行した場合は、これが紛争の平和的解決義務に違反するかは法的には難しい問題です。しかし、政治的には不適切と言えるでしょう。いずれにせよ、国際法上の論点をさらに整理していく必要があります。軍事利用云々の問題は、国際政治的次元の話として、透明性を求めていく必要がありますが、単に「軍事利用だからいけない」などといった、法的に杜撰な議論をするべきではないと思われます。

 通商路としての南シナ海の重要性にも鑑み、関係国が集まって会議をし、その結果が出るまで、現状を凍結するなど、知恵を絞る段階に来ていると思われます。中国がどんどん既成事実を作ってくるのを止めるためには、こういう提案をするとともに、場合によってはリスクのある対応も辞さないことが肝要です。オバマ政権にやる気があるのかとこの論説は疑問符をつけていますが、衝突を忌避したがるオバマの傾向がここにも影響しかねません。

  
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