バンコクを恐怖に陥れた未解決の連続爆発事件。まず、バンコク在住者からすると、久々にショッキングな事件と言わざるをえない。
日本でも多くのメディアで取り上げられた2014年の首都封鎖デモ。警察隊とデモ隊の衝突が世界中のメディアで流され、タイの混乱ぶりが広く伝えられた。銃声が鳴り響き、催涙弾が放たれる様子は日本側からすれば、ギリシャや香港のデモと同じように、タイの不安定さを感じさせるものだったに違いない。しかし、この首都封鎖デモは、在住者からすれば、そこまで深刻な問題ではなかった(デモエリア付近の日系レストランなどでは集客に大きな影響はあったが)。
というのは、デモ隊による封鎖箇所(デモ野営所)は決まっており、発砲、警察との衝突といったことは、そこに行かなければ遭遇しなかった。事件が起きているのは、いわば現場だけだった。そういう意味で近寄らなければ危険性はなかった。
日本で言えば、新宿のような場所で起きた事件
しかし、今回は違った。死者20人、負傷者123人という大惨事の現場となったラチャプラソン交差点は、バンコクで最も有名なショッピングエリアに立地。近くにはオフィスビルも多く立ち並び、日本でいえば、新宿をイメージしてもらえればわかりやすい。そして、ラチャプラソン交差点にあるエラワン廟は、ヒンズー教の神様、ブラフマーが祀られ、多くの観光客やタイ人で賑わっている場所。そこで起きた“無差別な”爆発事件は、バンコク都民に、大きなショックを与えた。
いくつかの日系企業は爆発が起きた17日のうちに翌日の出社を止めさせ、駐在員の家族にも外出禁止令が出された。幸い日本人学校は夏休みに入っていたため、大きな混乱はなかったが、ローカルの学校に対して、スクムパン都知事は休校を通達した。
24日時点で、タイ政府は爆弾を置いていったとされる黄色いシャツを着た男を実行犯と特定しているものの、未だ逮捕には至っていない。