Next to the obligatory photos of the man’s children stood framed, signed photos of Summers with Bill Clinton and Al Gore. Next to that, a framed one-dollar bill ―singed by Summers himself, a symbol of his time as treasury secretary of the United States, a position he'd filled from 1999 to 2000. (p125)
「自分のこどもたちを撮った、ごくありがちな写真の横には、ビル・クリントンとアル・ゴアと一緒にサマーズがうつっているサイン入りの写真が額に入れてあった。さらにその横には、額に入れられた1ドル紙幣があった。サマーズ本人の署名が入った紙幣だ。(評者注、米国の紙幣には財務長官のサインが印刷される)1999年から2000年にかけ財務長官の地位にあったことを物語るシンボルだ」
ハリウッドでの映画化もすでに決まっている本書は、青春ドラマとしての色彩が濃く、他にもハーバード大学のキャンパスライフの実像も細かく描く。限られた人数の男子学生だけが入会を許されるクラブが8つあり、大統領をはじめ政財界で活躍する人材を輩出したなどの歴史と伝統をそれぞれのクラブは持つという。
メンバーを選ぶために、幾度かパーティを開催して学生をふるいにかけ、最終選考ではアルコールの一気飲みに似た儀式をするクラブがあるなど、アメリカの名門大学の知られざる一面には興味がつきない。かつては、ブッシュ元大統領がエール大学で秘密結社スカル&ボーンズ(頭蓋骨と大腿骨)に所属していた過去が話題になったが、ハーバード大学でも似たような学生の集まりがあるということのようだ。
最後に、前述のように、本書は創業者ザッカーバーグではなく、裏切られた親友サヴェリンの視点から主に語られているのには理由がある。筆者も明らかにしているように、本書の執筆に際しサヴェリンからは協力を得られたものの、ザッカーバーグには取材に応じてもらえなかったためだ。
また、映画のシナリオのように非常に場面転換も非常に速く、読みやすい構成になっているものの、筆者はthe technique of re-created dialogueを使ったと明記している。取材であつめた材料をもとに、より魅力的な会話のやりとりになるように、場面を再構成したという。そのような仕掛けのおかげで読みやすさと楽しさは満点だが、正統派のノンフィクションとは違う点には注意が必要だ。
本書はニューヨーク・タイムズ紙の週間ベストセラーリスト(ウエブ版7月24日付)の単行本ノンフィクション部門の5位で初登場し、その後4週連続でランクインした。
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