2024年4月24日(水)

前向きに読み解く経済の裏側

2016年5月25日

バブルを止める役割は銀行に期待

 「惚れ込み型バブル」は、文字通り当事者が惚れ込んでいてバブルだという認識が無いのですから、当事者が止めることは期待できません。政府にも、期待はできないでしょう。バブルの時は人々がみなハッピーですから、政府がバブルを止めようと思ったら、「今がバブルである事を証明して、早いうちに潰さないと将来の被害が甚大になることを示す」必要がありますが、そもそも政府がバブルか否かを正しく判断できないわけですから、それは無理な相談です。

 そうした中で、筆者はバブルを止める役割を銀行に期待しています。バブルか否かは不明だとして、仮に「バブルではないから不動産価格は5割上がる、という確率が9割ある。今がバブルで、不動産価格が5割下がる、という確率が1割ある」と人々が考えていたとします。不動産を買うことは、期待値から考えてプラスですから、合理的な行動でしょう。ペーパーカンパニーを作って銀行から借金をして不動産を買うことは、さらに合理的でしょう。値上がりすれば大もうけ、値下がりしてもペーパーカンパニーが破産して出資額を損するだけですから、期待値は大幅なプラスです。

 しかし、銀行にとってはそうではありません。「9割の確率で不動産価格が上がるが、銀行の儲けは金利分だけ。1割の確率で不動産価格が下がると、銀行は貸出金の元本を損する」というわけです。

 つまり、バブルが疑われる時の不動産融資は、「勝てば借り手の得、負ければ銀行の損」という賭けなのです。つまり、バブルと確信しなくても、バブルかもしれないと思っただけで、銀行はこの手の融資を控えるべきなのです。
前回のバブルの時は、銀行がこうした冷徹な期待値計算をせず、大けがをしました。今回は、銀行が過去の失敗に学んで賢くなっている事を期待しましょう。

  
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