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2016年9月3日

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上の世代の意識を変えるより、自らが行動すること

駒崎:こうした問題をどう解決していくべきなのか。経営者としての出口さんのお考えはいかがですか。

出口:方法は2つあります。いろいろな実験からも明らかですが、人間の注意力は2時間ぐらいしか持ちません。2時間×4回か5回が1日の労働時間の上限。これ以上やっても生産性は上がらないし、良いアイデアは出てこない。僕はよく大事なのは「人・本・旅」と言っています。夕方の5時6時になったら蜘蛛の子を散らすように会社から帰って、いろいろな人に会って、いろいろな本を読んで、たまに旅に出た方がいい。

駒崎:そう言う経営者は少ないですね。60代の経営者は、血反吐を吐くまで働けなどと言いますから(笑)。

出口:夜の11時や12時に偉い人が会社に戻ってきて、まだ働いている社員がいると、無意識に「ご苦労さん」とか「がんばってるな」と労う言葉をかけますよね。あれもいけない(笑)。悪気はなくても、聞いている若い人は、この会社は遅くまで仕事をしていると褒められるんだと思いますから。

駒崎:僕も以前、16時間労働をしていたことがありますが、いまは定時に退社しています。フローレンスは、基本的に残業はしない風土です。経営的には、残業代が発生しないからコスト削減になるし、働きやすい職場だからと優秀な社員が来てくれる。社員を酷使して利益をあげても長くは続かないです。社員は持ち物じゃなくて、家族からお借りしていると考えるべきです。そこを履き違えている会社は罪悪ですね。

出口:もうひとつの方法は、仲間と行動を起こすことです。ひとりで5時に帰れないんだったら、若い世代を全部味方にして一斉に帰ればいい。集団下校することです。バブル時代のおじさんの意識が変わるのを待つより、若い人が行動した方が早い。

駒崎:集団下校(笑)。いいですね。僕は、長時間労働が強いられる職場は辞めちゃってもいいと思います。若い人から選ばれないという洗礼を企業はもっと受けたほうがいい。これから人手不足が大きな経営課題になってくる。すでに小売や外食はそうなっていますが、ホワイトカラーにもその波は来ると思うんです。採用力が低い会社は淘汰されるように労働者側が意識を持って行動すべきです。ちょっとラディカルですが。

出口:私もそう思います。合わへんと思ったら動けばいい。日本の大問題は、「置かれた場所で咲きなさい」という本がベストセラーになることですよ(笑)。

駒崎:あのタイトルは良くないです。ブラック企業の勧めのようですよね(笑)。

出口:置かれた場所で咲ければラッキーですが、咲けなければ我慢する必要はない。ブラックじゃなくても人間には相性というものがある。相性の良い職場を探せばいいんです。

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