2024年12月23日(月)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年2月4日

 話は一寸横道にそれるが、このきめ細かさはラグビーに限った話ではなく、すべてのカリキュラムにおいても同様だ。例えば、密着レポート第1516回「なわとび」においては、

 「いつも仲間の話にツンとした反応をとることが多い○○ちゃんにはあえて跳び方を先生が教えない。そして、仲間からアドバイスを受け入れざるを得ない状況をつくりだそう」

 「この前の木工作で自信をつけてきている○○くんは、早く跳べるようにしてあげてさらに自信を深めさせよう」

仲間と協力してラグビーに取り組んだことで、互いの心を通い合わせ、成長していく。

 といった具合だ。これらはあくまでもケースバイケースの判断だが、その結果、子どもたちが着実に、そしてたくましく育っていく様子を目の当たりにすると、教育とは意図をもった環境と機会の創造であるということを痛感する。特に幼児期においてはその重要性が高いのである。

 そして、ラグビーを通じて全身で痛い思いや悔しい思いをした子どもたちは、仲間とともにそれを乗り越え、また一段とたくましく育っていく。

親も一緒に
「うりゃー、どけー!」

 さて、子どもたちのドラマはこのあたりにして、最後にラグビーにまつわる親たちの様子も紹介しておこう。

 風の谷幼稚園の教育実践上の柱に「親も一緒に」という方針がある。(密着レポート第3回「幼児期の食生活と大人の責任」参照)その方針にのっとって、学期ごとに行われるお楽しみ会では親も子どもたちと同じカリキュラムを体験することになるが、年中児の3学期には親たちもラグビーに挑戦する。(ルールは子どもたちと同じである)

 そのときの様子を、親と先生の間で交わす「れんらくちょう」から見てみよう。

●ラグビー楽しかったー!!
お楽しみ会お疲れさまでした! ラグビー、楽しかった―! 子どもたちも参観で観た時よりもさらにラグビーらしくなっていて、点もいっぱい入るし見応えありました。そして親ラグビー、最高でしたね。あれほどみんなでぶつかり合えるのは信頼関係がなければなかなかできませんよね。子どもたちはシラーッとしてましたが……。和希にも「お母さん、点入れたよ! 見てた? 」と聞くと「ほーっ、すごい!」って……。「おーい! 見ててよ」って感じです。日ごろ主婦をやっていると、なかなかここまで体を動かせないので本当にいい経験です。

●何でも経験してみるものだなぁ
ラグビー、やって良かったです。何でも経験してみるものだなぁとつくづく感じました。ラグビーボールはどこへいってしまうかわからないこと、取り合いになったときに上からどんどん誰かわからない手が出てきてどのようにパスをしようか悩んだこと、大根のように引き抜かれたこと。短いゲームの間に色々なことを考え、色々な感情が出てきました。子どもたちは良い経験をさせていただいているのだなぁととってもうらやましくなりました。お母さんたちはすごかったけれど、本当に楽しかったです。


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