鹿児島神宮の初午祭(〔はつうまさい〕鈴かけ馬踊り)は、1度は見てみたい祭りではないだろうか。なにしろ首にたくさんの鈴を掛け、色とりどりの布や花で飾った「鈴かけ馬」が、マンボに似た踊りを披露するというのだ。だが、はたして本当に馬にダンスができるのだろうか?
「鈴かけ馬」に踊りを披露してもらい「花(お金)」を贈る風習も残っている
木田御神馬〔ごしんめ〕踊り保存会会長の上水流功〔かみづるいさお〕さんによると、“馬踊り”は、五穀豊穣・畜産振興などを願って神宮に奉納するもので、出場する馬は、1カ月以上前から、厳しい踊りの訓練を受けるのだという。
「リズムに合わせて頭を上下に振ったり、軽快なステップを踏みますので、ぜひ脚や頭に注目してください」
馬の首には100個近い鈴が掛けられており、鞍には米俵を乗せて、五色の布、花、初鼓などを飾る。こうした豪華な飾りつけも見どころの1つだ。
祭りには毎年、二十数頭の鈴かけ馬が出場し、それぞれ数十人の踊り連や、太鼓・鉦〔かね〕・三味線のお囃子、唄い手などを引き連れて、およそ500メートルの参道を練り歩く。
ちなみに、二十数頭の馬のうち、先頭を踊るのは加治木町木田地区の馬と決まっている。昔、木田地区では神宮の祭りに使われる御神馬を預かり、飼っていた。成長したその馬を神宮に納めにお参りしたのが馬踊りに変わったといわれている。
ただし、祭りの起源については諸説あり、室町時代に、時の領主、島津貴久と日秀〔にっしゅう〕上人、八幡宮神官の3人が見た“馬頭観音の夢”がきっかけだという説もある。
南九州には、初午の日に田の神様が馬に乗ってくるという信仰に基づく「馬踊り」の風習が各地に残っており、馬のダンスは、大地を激しく踏んで地霊を呼び覚ますという意味があるともいわれる。
「桜島には霞がかかる わたしゃお前さんに 気がかかる……」
「おはら節」によく似た曲調の唄が流れると、花飾りを付けた馬たちが軽快なステップを踏む。晴れやかで、こころ浮き立つ祭りの光景は、霧島の町を一挙に春色に染め上げていくようだ。
初午祭~鈴かけ馬踊り~
〈開催日〉2010年3月7日
〈会場〉鹿児島県霧島市・鹿児島神宮(日豊本線隼人駅下車)
〈問〉霧島市観光課 0995(45)5111
http://www.city-kirishima.jp/modules/page057/index.php?id=1
http://mlwalk326.exblog.jp/7351991/
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。