2024年5月15日(水)

Wedge REPORT

2010年3月29日

 一方で核燃料サイクルにとってもう一つの柱である使用済み核燃料の再処理工場についても、今年は正念場となる。日本原燃が青森県六ヶ所村に建設した再処理工場は、高放射性廃棄物のガラス固化工程などの度重なるトラブルで、操業開始時期の延期が繰り返されている。

 09年8月には実に14回目となる再処理工場の操業開始の延期を発表、現在、今年10月の操業開始を目指している。再処理工場の現状について日本原燃関係者は「(10月の)操業開始に向けて実際の使用済み燃料を使ったアクティブ試験を実施中。予定通り粛々と進めるだけだが、(試験は)順調に進んでいます」と強調するが、電力業界関係者からは「ガラス固化体のアクティブ試験は時間がかかる。操業はさらに2~3年ずれ込むのでは」と不安視する声も聞こえるのだ。

大綱のシナリオ見直しへ

 もっとも、明るい材料もある。それは現状の核燃料サイクルとしては中心的位置づけとなっている、プルトニウムとウランを混合したMOX燃料を既存の軽水炉で使用する、プルサーマル発電がようやく軌道に乗ってきたことだ。

 プルサーマル発電は「15年度までに国内16~18基の原発で実施する計画」(電気事業連合会)。昨年12月、九州電力の玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町)で始まったが、「トラブルもなく順調に進んでいる」(九州電力関係者)。次いで3月4日には四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)でスタート、さらに10年度中には中部電力の浜岡原発4号機(静岡県御前崎市)や関西電力の高浜原発3号機(福井県高浜町)などが続く計画だ。

 原子力政策を取り巻く環境が明暗入り組んだ中で始まる原子力政策大綱の見直し。そこでは「核燃料サイクル2050年の本格始動」というシナリオの見直しは必至とみられており、時間軸の大幅変更が予想される。

◆ 「WEDGE」2010年4月号




 

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