レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが24日、イスラエルに向けて約250発のロケット弾を発射した。イスラエル軍が発表した。9月に戦闘が激化して以来、イスラエルに対する最も激しい砲撃の一つとなった。
23日にはイスラエルがレバノンの首都ベイルート中心部を空爆。レバノン保健省によると29人が殺された。
一方、イスラエルのメディアは24日、イランが支援するヒズボラとの戦闘を終結させるため、イスラエルとレバノンが停戦合意に向けて動いていると大きく報じた。
イスラエルの警察によると、テルアヴィヴ近郊も含めた同国北部と中部で数人が負傷し、建物が損傷した。
イスラエル国防軍(IDF)は、テルアヴィヴのある地区をロケット弾が直撃し、「家屋が炎上し、廃墟と化した」と発表した。
また現地報道によると、ロケット弾はテルアヴィヴ近郊のペタ・ティクヴァのほか、北部のハイファ、ナハリヤ、クファル・ブラムといった地区に落下した。
ヒズボラは先に、ベイルートが攻撃されたことへの対応として、テルアヴィヴを標的にするとしていた。攻撃後には、テルアヴィヴとその近郊にある2カ所の軍事施設に精密誘導ミサイルを発射したと発表した。
一方、IDFは、ベイルート南部郊外ダヒエにあるヒズボラの指揮センター12カ所への攻撃を完了したと発表した。
23日のベイルート中心部への大規模な空爆は、何の警告もなく実施されたという。レバノンの保健省は24日、この攻撃による死者数を20人から29人に訂正。これにより、この日のレバノン国内の死者数は84人となった。
IDFは23日の攻撃についてコメントしていないが、イスラエルのメディアは、ヒズボラ幹部モハメド・ハイダル氏を殺害するための攻撃だったと報じている。
ヒズボラは、2023年10月7日にパレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した後、ハマスを支援するとしてイスラエル北部へのロケット攻撃を強化してきた。
紛争開始から1年がたち、イスラエルは北部から避難している約6万人を自宅に戻したいとして、レバノン南部で激しい空爆と地上作戦を実施しているほか、ベイルートなどへの空爆も行っている。
レバノン保健省によると、同国では昨年10月以来、3670人以上が殺されている。また、少なくとも1万5400人が負傷したほか、100万人以上が家を追われている。
この2週間、イスラエルはヒズボラに対する攻撃を強化している。
イスラエルの公共放送局KANは24日、イスラエルとアメリカの当局筋の話として、アメリカが提案したレバノンとの停戦合意にイスラエルが「ゴーサイン」を出したものの、まだいくつかの障害があると報じた。
(英語記事 Hezbollah fires rocket barrages into Israel after deadly Beirut strikes)