2024年7月15日(月)

赤坂英一の野球丸

2017年1月11日

  原監督が2004年に青学大に赴任するまで、中国電力で10年間、営業マンをしていたことはよく知られている。1989年に陸上部の選手として就職しながら、故障と首脳陣との意見の食い違いが重なり、僅か5年で引退せざるを得ず、一時は酒に走り、ストレスもあって体重が33キロも増えたほどだったが、そんなどん底から一念発起、省エネに役立つ「エコアイス」などの提案営業で頭角を現し、一躍トップクラスの成績を挙げるようになった。 原監督一流の選手をノセる叱咤激励、ファンやマスコミを惹きつける当意即妙の話術は、この営業マン時代に培われたものだ。

受け継がれてきた理論と伝統

  しかし、そうした手法裏側には、陸上界で脈々と受け継がれてきた理論と伝統がある。青学大監督に就任したとき、自ら持ち込んだ指導書がアーサー・リディアード著『リディアードのランニング・バイブル』、瀬古利彦著『瀬古利彦 マラソンの真髄』である。原監督にロングインタビューを行った2年前、私も勉強のために読んでみたが、そのあまりにも専門的な細かさと厳しさには、とても頭がついていかなかった。そう正直に原監督に打ち明けると、彼はこう言って笑った。

 「そんなに簡単に理解されたら困りますよ。私だって一所懸命勉強したし、いまも選手に理解させようと苦労してるんですからね」 

 そういう真面目な部分を、テレビではほとんど見せようとしないのが原監督のしたたかさ、そして実は知的なところでもある。

  
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