こんにちは、安冨ゆかりです。わが子と読みきかせを楽しむ時期は過ぎましたが、今も書店や病院、イベント会場などでの読みきかせ活動を通して、絵本の世界を子どもたちと一緒に愉しんでいます。
そんな中、自分の子育て中に出会いたかった・・・と思う本やこんな風に読めばよかったと、今更気がつくことも度々です。絵本の楽しみ方を広げるヒントとして、「こんな子」や「こんな時」を想定して絵本をご紹介していこうと思うこのシリーズ。今回は、生きていくために不可欠な食べ物ですが、好き嫌いが多い場合どうする? がテーマです。
好き嫌いがなくなるかも?
肉、魚、野菜、果物、お菓子など、子どもたちに「食べ物の好き嫌い」を尋ねると野菜は好まれず、中でもピーマンがトップになるようです。調査によって順位の違いはあっても、タマネギ、にんじん、トマトも上位に入る常連たち。この結果は、昔も今も、あまり変わらないように思います。
そして、昔も今も、大人たちは言います。「好き嫌いを言わないで、何でも食べなさい。」そんなこと言ったって、食べられないものは食べられない、嫌いなものは嫌い!食卓を挟んでの、「食べなさい」「食べない」の攻防は、どこの家庭でも見られる光景でしょう。
でも、『ピーマンにんじんたまねぎトマト!』(文化出版局)に登場するお父さんは、ちょっと違います。「おとうさんがつくったりょうりなら やさいだって いっぱいたべられるよ」と言ったゆうちゃんに、「そのことばに うそはあるまいな」と、お父さんが料理することを宣言。一緒に買い物に出かける事からはじめて、特別スープを作ってくれました。ゆうちゃんが「ぜったいだめ」と言っていたトマトも入ったこのスープ。一口飲んで、ゆうちゃんは何と言ったでしょう。
条件反射というのでしょうか、トマトが嫌いな人は、「トマト」と聞いただけで、その匂いや味を思い出して食べられないのだと思います。では、トマトをはじめ、にんじんやピーマンが姿形は同じでも、別の呼び名だったらどうでしょう。
トマトは「まんげつぶちゅっと」?
『ぜったいたべないからね』(フレーベル館)は、チョ~が付くほど生意気で、好き嫌いの多い妹に対して、智恵を絞った作戦で誘導する、それは面倒みのよいお兄ちゃんの話です。「食べなくたっていいんだよ。でも、もったいないなぁ~」と、言葉巧みに誘うその姿は大人顔負けで、これは見習わなければ・・・と思わせるのに十分です。しかしこの作戦、実行する場合には、親のセンスが成功の鍵を握っているように思われます。