こんにちは、安冨ゆかりです。わが子と読みきかせを楽しむ時期は過ぎましたが、今も書店や病院、イベント会場などでの読みきかせ活動を通して、絵本の世界を子どもたちと一緒に愉しんでいます。
子ども(特に幼い子)の相手をしていると、なんでこんなにくっついてくるのだろう? とか、そんなに「だっこ!」って言わないでとか、このくらいのことで泣くなんて・・・と途方にくれることが度々あるものです。買い物に行った帰り道、両手は荷物で塞がっているのに、駄々をこねられて往生し、怒ってしまったこともありました。そして、何度も思いました。「甘えん坊だなぁ」と。でも、その行動は、言葉にならない、できない思いを伝えていたと考えれば、違った対応ができたかもしれない・・・と、懐かしさと反省を込めて思い出します。
「這えば立て、立てば歩めの親心」という言葉があるように、自分の子どもに対して、思い描く姿や期待するものがあります。このぐらいのこと、もう解るでしょう、できるでしょうと、ややもすると現実の子どもの様子より、イメージの方が優先された結果、どうして! なぜ? と親子が辛い関係になってしまうこともあるようです。
男の子はめそめそしちゃダメ?
子どもは元気で、明るく、好奇心旺盛。そうでしょうか? ましてや、男の子がめそめそするなんてもってのほか・・・と思っていると、『あめふりあっくん』(佼成出版社)の主人公あっくんは、なんともこまったちゃんに見えるかもしれません。
保育園の朝、「ママがいっちゃったよう」と泣き出したあっくんは、心配してくれる友だちを振り切って泣き続けます。それは、降り出した雨と競うほどの泣きっぷり。ここまで自分の意思で思い切り泣けるのは、子どもの特権であり、羨ましささえ感じてしまうほどです。泣き止んだ後のあっくんは、なんと清々しいこと。そして、あっくんを囲む仲間たちの温かい眼差しを見ると、泣く事は恥ずかしいとか、甘えているからだと短絡的に考える方がおかしいと思えてきます。泣くことが、言葉のかわり代わりを果たす時期もあるわけですし、何か理由があって泣くのでしょう。まずは思いっきり泣くことを見守り、受け止めてあげたいですね。泣くことは、心と身体の健康にも必要なことだ、と聞いたこともあります。泣いてスッキリ、リフレッシュできた経験は、誰もが身に覚えがあるのではないでしょうか。
子どもが納得するまで、同じ目線で
さて、お池のそばに住んでいる『こわがりのかえるぼうや』(徳間書店)ジェロームは、暗いところで寝るのが怖くてたまりません。パパもママもよくわかっているので、本も読んでくれるし、だっこもしてくれます。でも、一人になると、もう怖くて寝られません。だって、ザクザク、ゴゾゴゾ・・・きみの悪い音が聞こえるんです。とうとう、パパと一緒に、その正体を確かめることになりました。すいれんの葉の上で、きみの悪い音が何かわかったジェロームは、言いました。「もう、暗くてもこわくないや」。