出かけるときはいつも手をつなごうとしたわが子が、ある日、一人でスタスタ歩いていくようになりました。手持ち無沙汰になったのは、親の方でした。でも、少し前を行く子どもが、時おり振り返っては親の姿を探し、確認すると安心したようにまた前を向いて歩いていきます。子どもが親を必要とする形は変わっていくこと、やがてはこうして、ひとりで歩んでいくようになるんだということを、知らされたできごとでした。
子どもたちは、確かに幼く、弱い存在ではあっても、ずっとそこ止まっているわけではありません。泣いたり、甘えたり、あまのじゃくな態度をとったりしながらも、必ず成長していくものだということを、これまで出会った子どもたちが教えてくれます。
さて、おはなし会で『ハグしてぎゅっ!』(瑞雲舎)を読むと、みんなの顔が柔らかくなるのを感じます。自分を受け止めてくる人、甘えられる人の存在、そして、そのおかげで、一歩も二歩も踏み出せること、頑張れることを思い出すからでしょうか。それは、大人も子ども同じようです。夏のお馴染み、オバケの話やちょっと怖い話は、そんな人に読んでもらうからこそ、子どもたちは安心して楽しめるのです。無条件に甘えて貰える醍醐味を味わいながら、一緒にドキドキ、ワクワク読んで、涼しくなって下さい。
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