2026年2月16日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月16日

 2026年1月9日付フィナンシャル・タイムズ社説が、東南アジアはトランプ関税戦争が始まった時の悲観論を裏切り、目覚ましい底力を示している、昨年の対米輸出は増え続けた、東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々はさらに国内と貿易の改革を進めるべきだと述べている。

(Mumemories/gettyimages)

 トランプが昨年4月、東南アジアの主要製造経済国に対して最大49%の相互関税を発表した時、輸出主導型のこの地域の将来は暗いものだった。外国企業が「チャイナ・プラス・ワン」戦略(中国依存を減らすためにアジアに第二の拠点を築く戦略)を放棄して撤退するのではないかとの懸念もあった。

 しかし、東南アジアはこの悲観論を裏切り、目覚ましい底力を示している。昨年の対米輸出は増え続けた。25年10月時点で同地域の世界向けモノの輸出は前年同月比で15%増となり、年換算では約3000億ドルの輸出増に相当する。

 主要工業国への海外直接投資も、供給網の多角化を背景に増加している。ベトナムは、25年に8%の経済成長を記録し、26年は2桁成長を目標としている。

 こうした強さの多くは、企業の機敏な対応を反映している。企業は関税の脅しに対し、出荷の前倒しや供給網を迅速に再構築した。輸出好調の一部は中国製品の迂回輸出によるものだが、米国以外の市場向けのASEAN の輸出も伸びている。地域の生産者はさらに、中国から一層安価な中間財を輸入することで利益を増やした。

 また、政府の実務的な対応により、米国の高い「相互」関税は二国間交渉で大幅に引き下げられた。財政・金融支援の組み合わせが経済を下支えし、ASEAN域内や域外との貿易改善のための前向きな協議も行われている。

 同地域が本来持つ製造業の優位も寄与している。既存の効率性と専門性により、生産者は関税があってもコスト面で優位を維持した。


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