トランプ関税が対中水準より低く引き下げられたことや、ドル安も相まって、ベトナム、カンボジア、タイ等への直接投資は一段と高まった。世界的な技術ブームは、この地域が得意とする電子機器の輸出の追い風になった。多くのハイテク製品は、米国によって関税の適用除外とされた。
しかし、東南アジアの堅調な経済への自己満足は禁物だ。トランプ政権は、中国からの「迂回輸出」の取り締まりを強化するとし、中国産中間材の使用比率が高い場合は対米輸出を容認しないことを示唆する。さらに、安価な中国製消費財の流入は、域内各地に経済的な歪みを起こしている。
この地域は、これまでの経済の強靱さを土台に、さらに前進すべきだ。その第一歩は国内での構造改革だ。官僚的手続きの削減、労働力の技能強化、道路・鉄道・港湾インフラの整備は、コストの優位性を一層高めるだろう。
社会的セーフティーネットの改善は内需を下支えする。政府は、新たな市場との貿易・投資関係を深めるとともに、域内の関係も強化すべきだ。
東南アジアの経験は、貿易障壁が高まる中でも、開放性と競争力が成長の源泉であることを示している。国際的サプライチェーンへの統合は、この地域を不可欠な存在とし、世界がこの地域を迂回できないものにしている。強靭力向上のために、この地域は自らの強みをさらに強化していくべきだ。
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成長が強靭力や適応力を上げる
上記社説は、昨年4月にトランプ関税が発表された頃の東南アジアの先行きは暗いものだったが、「(輸出依存型の)東南アジアはこの悲観論を裏切り、目覚ましい底力を示している」と述べ、「昨年、対米輸出は増え続けた」ことと「25年10月時点で同地域の世界向けモノの輸出は前年同月比15%増」となったことを挙げる。
その寄与要因として、①企業の機敏な対応(出荷の前倒しや供給網の再築)、政府の対米交渉によるトランプ関税の引き下げ(ハイテク製品は米国が関税適用を除外)、②中国の東南アジアを通じる迂回輸出、③同地域特有の製造業の優位な競争力と強靭力、④域内の貿易自由化等を挙げる。
