「幽霊の正体みたり、枯れ尾花」ではありませんが、わからないことが、怖さの素になっていることって、多いですよね。パパが一緒に見届けてくれたから、ジェロームは一層安心できたのでしょう。大人には、子どもが納得するまで、同じ目線で付き合ってあげることが、しんどい場合もあります。でも、それが大切なことだということは、心に留めておきたいものです。
宇宙から夜の地球を見た時、日本の明るさは異常だと言われています。暗闇の存在が少なくなった現代、小学校の国語の教科書にも載っている『モチモチの木』(岩崎書店)の豆太のような経験は、希有な出来事でしょう。峠の猟師小屋にじいさまとたったふたりで暮している豆太はとても臆病で、5歳にもなるのに夜一人で雪隠(セッチン/トイレ)にも行けません。(もっとも、真っ暗な外に出て行かなければいけないことを考えると、解らぬでもありませんが。)でも、ある晩、大好きなじいさまが苦しみだしました。豆太は、夢中で麓のいしゃ様を呼びに走ります。じいさまを思う気持ちが、闇の中に飛び込む恐怖や躊躇する思いを上回って、豆太が持つ大きな力を呼び覚ましたのでしょう。「勇気のある子どもだけが見ることができる」と聞いていた山のかみさまのお祭りを見る事ができた豆太。じいさまが元気になったとたん、甘えん坊に戻ってしまった豆太に、じいさまは言いました。「じぶんでじぶんをよわむしだなんておもうな。にんげん、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ」。大人たちも忘れたくない言葉です。
心配性、弱虫の克服法
ビリーは、飛び切りの心配性。いろんなことが気になって、おちおち眠る事もできません。パパもママも慰めてくれるけど、やっぱり『びくびくビリー』(評論社)でした。「ぼくは弱虫だ」と思ったけれど、おばあちゃんに話したら、いいことを教えてくれました。“しんぱいひきうけ人形(ウォリー・ドール)”というのがあって、この人形に心配事を打ち明けて枕の下に入れて眠ると、人形達が変わりに心配してくれるから大丈夫、というのです。もちろん、ビリーは試してみました。効果抜群! それからのビリーは、あまりびくびくしなくなったようです。
世界中で一番弱虫のラチのところへやってきたあかいらいおん君も、「君を強くしてやる」と言って、まず体操を教えてくれました。(『ラチとらいおん』(福音館書店))そして、いつもラチについていてくれました。ラチは、暗い部屋にも入れるようになったし、怖い犬のそばを通るのも平気になりました。そして、ある日気がつくと、らいおん君がいなくても、困っているともだちを助けることができたのです。らいおん君は、どこへいったのでしょう?