一方、孤立しているカタールに対して救援の手を差しのべているのがイランということだ。農地のないカタールで250万人の食料を確保しなければならない。淡水化設備があるとはいえ、スイート・ウォーターも必要であろう。イランは、カタールの本来の仲間であるスンニ派の対立軸の反対の国とはいえ、カタールにとっては背に腹は代えられないところだ。トルコもカタール側に参戦することになるだろう。
どちらのサイドにつくのか?
さて、トランプ大統領中東訪問の余韻の中で起きている外交事案で裏にロシアも見え隠れしており、イランの介入もあり、新たにカタールとの国交断絶を宣言する国の数は増加している。逆に、その過程で、トルコはカタールサイドになるのだろう。
米国はカタールに嘉手納のような巨大空軍基地を持ちながら、米国の大統領がカタールを過激派支援で非難するのも奇妙な話だ。イスラエルを入れると、因数分解もできないことになる。サッカーワールドカップを心配する向きがあるが、その前に中東の関ヶ原対決が起きることを心配するべきであろう。
言葉では厳しくやり合っても普通は、次回のGCC会議にそれぞれ何食わぬ顔で参加し、日本語にならない間投詞「ヤニ」を多用しながら「サラマレコム(平和をあなたに)」「アレコムサラム(あなたにも平和を)」となるのであるが、今回ばかりはギャラリーが大勢いる中で見栄を切った手前、どちらも引き下がることはできない。
ただしかなり厳しいサウジアラビアとイランのような国交断絶といっても、民間レベルのイスラム巡礼者は木戸御免となっている。この辺の機微は、よそ者にはわからない。特に日本人には難しい。ヘリウムガスの手当を怠りなく。
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