2024年12月22日(日)

親子で楽しむ展覧会 2010

2010年8月9日

 「夏休みに、子どもと楽しめる近場の良いスポットはないだろうか…」と頭を抱えているお父さん・お母さんに、親子で楽しむ都内の展覧会を全3回でご紹介するこの企画。第1回の『トリック・アートの世界展』、第2回の『ドラえもんの科学みらい展』に続き、最終回となる第3回は、六本木ヒルズの森タワー52階にある森アーツセンターギャラリーで開催中の『地球最古の恐竜展』をご紹介する。今回、特別ナビゲーターとして、「週刊少年チャンピオン」で子どもから大人まで幅広く支持を受けている恐竜漫画『AL(アル)』を連載中の所十三先生と一緒に展覧会を回りながら、この恐竜展の魅力を伺った。


 「まず、この恐竜展のスゴイところは、その演出にあります。一般的な恐竜展では、骨格標本の隣に復元模型を並べたらそれでおしまいですが、この恐竜展では、CGや映像、照明や音声などを使い、その時代にタイムスリップしたような臨場感を与えています」(漫画家・所十三先生)

精緻に描かれた迫力のCG映像が、会場各所に配置された大型ディスプレイで楽しめる

 最初の円形の展示室で、私たちを取り囲んだのは、月面のような壮大なパノラマの映像だ。今回展示されている化石が発掘されたのは、世界遺産として有名なアルゼンチンの「イスチグアラスト州立公園」。そのゴツゴツとした月面のような光景から「月の谷」と呼ばれる一帯もある。円形の室内に360度映し出されたパノラマ映像がグルグルと回転し、私たちの意識を日常から遠く離れた場所へ運んでいってくれる。また、会場の各所に設置された大型ディスプレイには、精緻なCGで描かれた恐竜たちが画面いっぱいに動き回り、その迫力は子どもたちの目を釘付けにしている。

恐竜の脳の大きさってどれくらい?

 さて、最初の円形の部屋を抜けると、さっそく恐竜様のお出ましだ。暗い会場の両脇に、鮮やかにライトアップされ、白く浮かび上がる巨大な骨格標本たち。誰もが思わず「かっこいい!」と目を輝かせてしまうに違いない。ストロボを焚かなければ、写真を撮ることも可能だ。ただ、ここで着目していただきたいのは、陳列されている骨格標本のすべてが恐竜のものというわけではない、ということだ。ここには、恐竜と同じ時代を生きた私たちほ乳類のなかまであるキノドン類や、ワニ類のなかまも一緒に展示されている。

 「じつは、それがこの恐竜展のもうひとつの魅力です。恐竜が誕生したはるか約2億3000万年前の時代と、ほ乳類である私たち人間が生きている現代とを、紐付けて考えることができるわけです。たとえば、恐竜の脳は、全長7~8メートルあるものでも、せいぜいピンポン玉ほどの大きさしかなかったと言われています。では、なぜ私たちほ乳類の脳はこれほど大きく発達したのでしょうか。その謎を解き明かすヒントが、じつはここにあります。

⇒次ページ ほ乳類の脳が大きくなった本当のワケ

美しくライトアップされた恐竜の骨格標本

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