2024年7月14日(日)

Wedge REPORT

2010年12月7日

 「英国の政党は、日本に比べて、マニフェストを作成する体制やプロセスが確立しています。国民や専門家と対話を重ねながら、約2年間程度かけてマニフェストを作成していきます。例えば労働党では、政策分野ごとに政党幹部などから構成される委員会が設立され、地方の党員代表、専門家が関与します。また、マニフェストの作成過程で政策案は適宜公表され、専門家や現場で活動する人々からの意見を得て、さらに練り直されていきます。もちろん、英国のマニフェストも完ぺきではありませんが、十分な準備期間を経て、長期的ビジョン、それを具体化していく政策と、その財源を詰めながら作られています。日本の政党は、マニフェストの作成過程やその体制を見直して、政策立案能力を高めていく必要があると思います」

 日本では、マニフェストの作成過程も見えなければ、十分な準備期間も経ていないように思われる。また、マニフェストに掲げられていた項目が、次の選挙で忽然と消えるマジックのようなことが起こるのは、長期的なビジョンに基づいていないからだろう。昨年の衆院選で民主党が目玉政策として掲げた公務員制度改革が、今年の参院選マニフェストで、すでに達成した項目に紛れ込んでいたのが一例だ。マニフェストで政策の具体的な目標や手段を示していないから、連立相手との差異がぼやけてしまう。そして、政策決定の局面になってようやく差異が明らかとなり、国民の望まない離合集散を繰り返すのである。

 もちろん、英国の連立政権は誕生からまだ日が浅いうえに、保守党と自民党の間には政策や理念に大きな溝があることも指摘されている。政策より政権を重視した連立である側面も否定はできない。ただ、連立を持続させるために、連立合意を組む段階から、双方の隔たりを埋める努力を行っていることも確かである。そして、それが行えるのは、十分な準備期間を経て、丹念に練り上げた明確なマニフェストが存在するからと言えるだろう。

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