大人数が一斉に移動し、膨大なニーズがあるだけに、切符購入の代行は昔から盛んだ。かつてなら体力勝負だったダフ屋は、今ではインターネット技術を駆使する集団に様変わりしている。具体的には「チケット争奪のための専門チームとソフトウェア、超高速インターネット、ハイスペックのハードウェアが必要」だというダフ屋の証言が12月29日の工人日報に載っている(http://green.workercn.cn/3179/201712/29/171229102338730.shtml)。鉄道部は身分証の確認の厳格化やチケットを代理購入できる枚数を制限するなどして、ダフ屋の締め出しに躍起だ。
携程(Ctrip)、去哪儿(Qunar)をはじめとする大手旅行サイトも、軒並み切符の購入代行サービスを行っている。チケット入手の確率に応じてサービス料を徴収するというものだ。ただ、この手法は最近のダフ屋の多くがとっているものと変わらないので、ダフ屋とどう違うのかという論争が起きている。
シャオミが春運用のアップデート
新華社の運営する「経済参考報」は9日、「春運のチケット争奪戦が始まり、プラットフォームの代理購入がダフ屋行為かまた議論になっている」と伝えた(http://www.jjckb.cn/2018-01/09/c_136881497.htm)。記事によると、チケットの価格を吊り上げるダフ屋と違って、旅行会社のプラットフォームで行われる代理購入サービスは、あくまでサービス料を徴収しているだけだからダフ屋行為には当たらないのだという。
ただ、ダフ屋の方も「我々は代理購入しているだけ」と主張するようになっていると中央政法委員会の機関紙の「法制日報」が9日、伝えている(http://epaper.legaldaily.com.cn/fzrb/content/20180109/Articel05002GN.htm)。というのも、ダフ屋対策が強化された結果、今のダフ屋はかつてのようにチケットを大量購入し、高額で転売して差額を稼ぐことができなくなった。結果、依頼者に代わって依頼者の身分証などの情報を使ってチケットの代理購入をし、マージンを稼ぐようになっているのだという。
結局、ダフ屋と旅行大手のサービスの合法、非合法を分けるラインは、政府の指導に従っているかどうかというところにあるようだ。記事中では、ダフ屋行為をなくすには、チケットの供給量を増やし、チケット購入の手続きを簡素化する必要があるという、わかりきっていながら当分実現しそうにない指摘がなされている。
自力でチケット購入を試みる人向けには、チケットを1秒でも早く入手するためのソフトウェアが以前から販売されている。先の経済参考報の記事は、こういったソフトウェアには情報流出の危険があると指摘している。チケット購入時に入力する決済情報が漏れてしまう可能性があるのだ。
スマートフォン製造のシャオミ(小米)は、携帯を最新バージョンの「MIUI9」にアップデートすれば「稲妻級に速く、チケット獲得で人に先んじることができる」と宣言した。IT関連のプラットフォーム「PChome」の3日の記事によると、実際ユーザーから「同僚4人と一緒にチケットを買いにかかったけれど、やっぱり自分の小米Note 3がすごかった。拍手!」といったコメントが寄せられているという(http://article.pchome.net/content-2043868.html)。
鉄道部自身も、ユーザビリティの向上に取り組んでいる。新浪科技は4日、鉄道部の公式サイトでWeChat Payが使えるようになり、加えて、会員になれば航空機のようにマイルが貯められるようになったと伝えている(http://tech.sina.com.cn/i/2018-01-04/doc-ifyqkarr7199789.shtml)。
春運という巨大なビジネスチャンスをめぐって様々なプレーヤーが角逐する状況は、ヒートアップこそすれ、沈静化はしそうにない。
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