2023年2月6日(月)

解体 ロシア外交

2011年5月27日

»著者プロフィール

 そして、本基地の名が国際政治の場に登場したのは、まさに欧州MD計画を巡る問題でプーチン大統領・ブッシュ大統領時代の米露が緊張関係にあったころである。欧州MD政策を進めるにあたり、ブッシュ大統領(当時)は、「イランに対抗するため」と主張したが、プーチン大統領(当時)は、2007年に「イランに対抗するのであれば、中欧にMDシステムを配備するより、イランの隣国アゼルバイジャンにあるガバラ基地を利用したほうがずっと良いはずなので、ガバラ基地を共同使用しよう。また、ロシア南部に米国が利用できる新基地を建設する用意もある」と切り返したのである。これは完全に「踏み絵」であった。米国はこの提案を受け入れず、そしてロシアはやはり米国はロシアに対してMD政策を強化しようとしていると確認し、その後、米ロ関係は最悪の状況にまで進んでいくのである。なお、アゼルバイジャンは、同基地における米ロの協力には反対しないという立場だ。

 ともあれ、ロシアがアゼルバイジャンとの契約を延長することは確実な趨勢であり、その点から見ても、現実的に欧州MD計画でのロシアとNATOの協力は非現実的とも言えそうだ。

 以上、見てきたようにロシアと米国、NATOとの関係は難しい局面に来ている。また、最近の中東情勢を巡る米国やNATOの動きに対してもロシアは批判的だ(ただしこの問題では、ロシア首脳陣の間の不協和音も問題となっているが)。いずれにせよ現状では、ロシアが提案する欧州MD計画での対等の協力は難しそうである。

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る