2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2011年6月7日

 福島での今後の展開を、石田社長は3つのフェーズに分けて考えている。第1フェーズは、4種類ほどの手工具で行える簡単な電線加工。今はこの段階にいる。そして、これから正社員とパートを合わせて5名まで増やし、子育てなどの理由で外出できない主婦などを対象に15名の内職を雇う方針だ。内職は慣れてくれば1日3,000円、月6万円程度の収入となる。

 これまで何度もいわき市に足を運び、現地の状況把握に努めてきた石田社長は、「今の段階では、薄く広く雇用を生み出すことが必要」と考えている。第1フェーズが軌道に乗れば、やや難しい技術を要するケーブルの製造(第2フェーズ)に移行。そして、数年後には第3フェーズの「製品開発」に漕ぎ着けたいと考えている。

「メイド・イン・フクシマ」を、世界一のブランドに

 「福島は今、悪い意味で世界一の知名度を得てしまっています。でも、福島の人の力で、これをなんとかプラスの方向に変えていってほしい。自分にそのお手伝いができるのは長くても5年です。その間に、どうかこの工場を自立させてほしい。未曾有の災害を経験した福島の人たちだからこそ浮かぶ防災アイデアがきっとあるはずです。メイド・イン・フクシマの防災用品は、世界一のブランドになると信じています」。

 防災用品の開発において、じつはすでに水面下での動きも始まっている。石田社長は、大田区町工場の若手経営者が集まる「おおたグループネットワーク」と、フェイスブックなどを通じて緊密に連携。世界一の技術力を誇る日本のモノづくり中小企業と、世界一の災害を経験した福島の知恵が組み合わされば、防災用品の世界ブランドが生まれる日はそう遠くないのかもしれない。

 今回の震災には、日本中の人々の心を駆り立てるだけの衝撃があった。衝き動かされるように立ち上がった民間の力は、まだそれほど大きな成果を上げるものではないが、被災地に新たな希望をもたらす可能性を確実に含んでいる。そのサポートが続くうちに、被災地の人々が、自分たちの力で立ち上がれる日が訪れることを、心から願いたい。

◆農産物サポートプロジェクト(ごきげんファーム内)
住所:茨城県つくば市吉瀬1085-3
ウェブサイト:http://www.gokigenfarm.org/0141831
Facebook:http://www.facebook.com/home.php?ref=hp#!/BuyJapan.jp

◆株式会社三笠製作所
住所:愛知県丹羽郡扶桑町大字斎藤字宮添166番
ウェブサイト:http://www.mikasa-med.co.jp
石田社長のブログ:http://med1.blog53.fc2.com/


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