2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年11月9日

 10月18日、19日の2日間、ベルギーのブラッセルで、第12回アジア欧州首脳会議(ASEM)が開催された。日本からは安倍晋三総理が出席し、議長はEUのトゥスク欧州理事会議長が務めた。2日間にわたるASEMは、主に3回に分けて会合がもたれた。第1セッションでは、WTO、欧州とアジアとの連携、持続可能な経済成長等、経済分野を、第2セッションでは、気候変動、海洋プラスチック汚染、女性問題等、地球規模のコモン・アジェンダを、そして、ワーキング・ランチのセッションでは、北朝鮮、海洋安全保障、テロ、サイバー、移民等の広い意味の安全保障問題が、討議された。

 2日間の討議を終え、第12回ASEMの総括として、トゥスク議長による声明が英文で発出された。その中で、特に北朝鮮問題に関わる部分を以下で紹介する。

(VadimZakirov/Nerthuz/urfinguss/iStock)

 第12回ASEM議長声明のタイトルは、「グローバルな挑戦に対するグローバル・パートナーズ」であり、「はじめに」が1から14項目、第1部「政治・安全保障の挑戦に対するパートナーズ」が15から20項目、第2部「経済・金融の挑戦に対するパートナーズ」が21から26項目、第3部「社会と文化的つながりのためのパートナーズ」が27から30項目という構成になっている。第31項目には、2020年に第13回ASEMがカンボジアのプノンペンで開催されることが謳われた。

 このうち、北朝鮮問題に関しては、第11項目で、比較的長く明記された。その要点は次の通りである。

・南北関係の発展、朝鮮半島の完全な非核化や平和な体制は、東アジアの平和、安全保障及び安定のみならず、世界全体にとって重要である。

・核のない朝鮮半島の長い平和と安定を導くための韓国の努力と他諸国の外交を歓迎する。ASEMの首脳達は、最近の朝鮮半島の動き、特に、3回にわたる南北首脳会談と米朝首脳会談を歓迎する。首脳らは、板門店宣言、平壌共同宣言及び、完全な非核化と朝鮮半島における恒久的平和体制の構築を確認した米国と北朝鮮とのシンガポール共同声明の完全かつ迅速な履行を支持する。

・首脳達は、北朝鮮が、完全で、検証可能で、かつ不可逆的方法で、全ての核及びその他大量破壊兵器、弾道ミサイル及び関連の計画及び施設を、国連安保理決議に沿う形で、破棄することを求める。そして、北朝鮮が完全非核化の約束を果たすことを求める。

・ASEM首脳達は、外交及び制限措置を含む国連安保理決議の完全な履行を通した包括的解決を支持する。この意味で、首脳らは、北朝鮮が核不拡散条約及びIAEA保障措置に早期に復帰し、その監視体制に協力することを強く求める。

・北朝鮮問題を解決するために現在行われている外交努力は、拉致問題を含め、北朝鮮の人権や人道的状況を改善するのに貢献すべきである。


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