そうすると、1番は誰か?
もし田中が来季3番に据えられるとすれば、田中に代わる1番は誰になるのか。これはもう野間峻祥のほかには考えられない。14年秋のドラフト1位で中部学院大から入団して4年目、今季は出場した126試合のうち25試合でスタメン1番に抜擢され、初めて規定打席に達し、リーグ18位の打率2割8分6厘、5本塁打、46打点となかなかの好成績を残した。
出塁率3割4分3厘、盗塁17個という数字は田中を下回るものの、足の速さはチームでもピカイチ。首脳陣の間でも「野間が1番に固定されれば、足で田中以上の成績を残せるはずだ。彼はそれだけのポテンシャルを秘めている」と評価されている。今季終盤は「来季の広島は開幕から野間1番でいくんじゃないか。田中の調子が戻ってこなければ、CSでの1番もある」と睨んでいた他球団のコーチもいたほどだ。
もともと、外野守備のうまさは入団時からチームでもトップを争うほどの逸材だった。現に、17年オフにヤクルトに移籍した元広島外野守備走塁コーチ・河田雄祐は以前から、「外野で最高の布陣を敷くなら、レフト・(鈴木)誠也、センター・野間、ライト・丸。これがぼくの理想」と強調していたほど。
余談ながら、河田コーチとともにヤクルトへ移籍した石井琢朗打撃コーチはイラストが上手く、河田コーチと野間の似顔絵をLINEスタンプにしている。野間が今季、4年目にして規定打席に達するほどの成長を見せたのは、そうした指導者たちに注がれた愛と薫陶のたまものでもあったのだ。
もちろん、野間1番、田中3番などの打順変更ぐらいで丸の穴が埋まるかと言ったら、そう簡単にはいかないだろう。緒方孝市監督が丸を引き抜いた巨人の逆襲を食い止め、4連覇を達成するには、これまで以上に細かい戦力のやりくりに、頻繁な一・二軍の選手の入れ替えが必要になるはずだ。