大化けしそうな原石は誰か?
それでは、いまのカープの二軍に、来年大化けしそうな原石は残っているか。私が注目している一番手は、16年秋のドラフト4位で日大三高から入団し、来季で3年目を迎える捕手・坂倉将吾だ。2年目の今季は一軍での出場が僅か9試合に終わったが、首脳陣は当初、将来の正捕手候補としてもっと一軍で経験を積ませる予定だった。
2年連続ベストナイン(広島の捕手としては球団史上初)に選ばれたレギュラー・會澤翼にはまだまだかなわないものの、伸びしろの大きさは首脳陣の誰もが認めるところ。水本勝巳二軍監督は、何よりも野球に取り組む姿勢の真面目さ、ひたむきさを評価している。
「若手は誰でも、〝自分からやる練習〟ではなく、〝指導者にやらされる練習〟からプロ生活をスタートする。黒田博樹や新井貴浩も、最初は〝やらされる練習〟から始めたんですよ。そうした中で、坂倉は常に自分から練習をやっている。あの自分に厳しい姿勢は、昔の前田智徳に匹敵するものがあります」
また、一軍の東出輝裕打撃コーチは、シーズン中の7月、美間優槻との交換トレードでソフトバンクから加入した曽根海成の能力を高く買っている。13年秋の育成ドラフト3位で京都国際高からプロ入りし、4年目の17年に支配下契約を勝ち取った苦労人だ。
「守備に関しては、ウチに移籍してきたときから文句のつけようがなかった。打撃はどうかと思ったら、速い真っ直ぐに強いんです。これで変化球にも対応できるようになれば、一軍でも十分に使えますよ」
そうした原石が控えているとなると、伸び悩みが懸念されている堂林翔太、安部友裕、西川龍馬もウカウカしてはいられない。広島の歴史を振り返ると、FAで江藤智が00年に巨人へ移籍したあとは金本知憲、その金本が03年に阪神へ去ったら新井と、常に生え抜きの選手が逞しい主力に成長して、もっと言うなら当時の首脳陣が彼らを成長させて、独自の伝統と歴史を築いてきた。
今季は新井が引退、丸が巨人移籍、さらに外国人のブラッド・エルドレッドも退団と、現在の〝新黄金時代〟を築いた功労者たちが次々に去った。しかし、こういう戦力の端境期こそ、カープの〝底力〟の見せどころ。と同時に、ファンにとっては応援のしどころでもある。
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