Q 桑田さんには、尊敬する投手はいなかったのでしょうか?
勉強熱心な桑田さんには参考になる選手は、たくさんいたでしょう。彼は、自分のためにその選手たちのよい部分などをどん欲に取り入れていきます。ただし、監督やコーチが「あの選手のこういう練習方法がいい」と言ったところで、自分が取り入れる必要はないと思ったら、取り入れないでしょう。それが、桑田さんのマネジメント能力の高さであり、すばらしいところです。彼からすると、参考と尊敬は違うのでしょうね。
Q 桑田さんは選手としての意識が高く、立派な見識を持つ一方、なんとなくかわいくないイメージがしますね…(苦笑)。清原さんの言動には現役のころから賛否両論があるのでしょうが、私などは人間としてかわいい感じがしなくもないです。ところで、今後、会社員は清原型でいくべきですか、それとも桑田型でいくべきでしょうか。
「かわいい」という言葉が何を意味するのかにもよるのでしょうが、ある意味では、清原さんはかわいい男かもしれませんね。私は、桑田さんもかわいい男だと思いますが。大変な努力家であり、勉強熱心で、ひたむきですよ。あれほどの見識をもつ桑田さんは今後、すばらしい指導者になっていくはずです。プロ野球界でも、桑田さんが認められる時代にしだいになっていくでしょう。
会社員はあえていえば、清原型で行くしかないと思います。多くの会社は今後、桑田型よりも、清原型を求めますから…。すでに会社では人工知能が、桑田型の働きをするようになっています。つまり、大量の知識や情報を獲得し、きちんと調査し、理解・分析したうえで、自分にとってプラスになるものを受け入れ、成長するような姿勢です。それはまさに桑田さんそのものであり、そのような仕事を今後は人工知能がするのです。
たとえば、今までは、ロジカルシンキングを学ぶだけでも、一定の効果があったのです。実際、私は社員の研修などでも、論理的な思考を身につけるためにロジカルシンキングを長年、教えてきました。
しかし、人工知能は、人間よりもはるかに精度の高いレベルの論理的思考を身につけています。これからは、論理的思考よりは、クリティカルシンキングが必要になります。「それは違う」という否定から入っていくクリティカルシンキングが、より大切になるのです。
これは、清原さんが西武ライオンズのころの思考に近いものがあります。ただし、特に会社員の場合はある程度の論理的思考があり、そのうえにクリティカルシンキングが必要になります。このあたりを誤解すると、大きな問題になりえます。
⇒(次回に続く)
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