From LA

2019年1月25日

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 「インテル入ってる」という宣伝文句を耳にしたことがある人は多いだろう。もともとコンピュータのプロセッサを手がける企業だったインテルだが、データ、コネクティビティ、モビリティなどがホットな話題になるにつれ、インテルのプレゼンスもまた広がっている。今年のCESのインテルブースのテーマはズバリ、「Intel Outside」だった。

 

 そもそもインテルは3年前と2年前、2年連続でLAオートショーの基調演説を行った。LAオートショー自体がMOBILITY LAと名前を変え、従来の車のデザインとスペックを見せる展示会から自動運転を含めたIT技術を取り入れた新しいテクノロジーの産物としての車へと焦点を合わせ始めたのに対応してのことだ。インテルが扱うデータはコネクティビティ、自動運転にとって大きな役目を果たす。これまでの裏方的役割から一気に表舞台に飛び出したのだ。

 その流れで今年のCESではインテルの持つ技術で何が変わるのか、何を表現できるのか、これからのモビリティにインテルが果たす役割は、という点が強調された。CES期間中にインテルが主催、もしくはパネラーとして参加したディスカッションなどを含めると10 のイベントが行われた。これほどの影響力を持つ企業は他には存在しない。

 そのイベントを見てもCESのオープニング基調演説、自動運転のセンサーで有名なモバイルアイでの記者会見、ブースツアーと様々だ。インテルが関係するパネルディスカッションのテーマは「AIの倫理」「5Gとエンタテイメント」「イマーシブ・メディア」「新しいモビリティ革命」「テクノロジーに裏打ちされたeSports」「自動運転・スマートカーの安全性とポリシー」「バーチャルケアと遠隔患者モニタリング」と、まさに医療からゲーミングまで広い範囲をカバーしている。そしてブースでは自動運転の未来を語るパネルディスカッションも定期的に開催されていた。

 これだけ多岐にわたるとインテルという企業を簡単に紹介するのは難しくなる。ブースを訪れてもVR用のヘッドセットがあるかと思えば自動運転車両に搭載されるシステム、車内エンターテイメントシステム、とどれに焦点を絞れば良いのか迷ってしまう感じだ。

 その中でインテルの実力を示すちょっと面白い展示があったので紹介したい。インタラクティブ・シアターとでも呼べば良いのか、縦1メートル横60センチくらいの大きなモニタースクリーンである。このスクリーンの前に立つと、ダンスの映像が映し出されているのだが、係員の指示に従って自分が横に移動すると、それに合わせてスクリーンの映像も動く。これまで正面からダンス風景を見ていたのが、自分が横に動くことによって横から同じ風景を眺めることになる。

 手を下にかざすと、今度は視点が上空となり同じダンスシーンを上から眺めることができる。こちらは何のデバイスも身につけておらず、ただスクリーンがこちらの動きを感知して映像の角度を変えるのだ。

 なぜそのようなことが可能なのか? インテルではこの映像のメイキングビデオも公開していたが、ダンスチームが踊る場面をあらゆる角度から撮影し、ほぼ360度に近い視点からの動きを組み合わせることで見る人の動きに合わせた映像視点を提供できる。さらにスクリーンに隠されているカメラが目の前に立つ人の動きをモニターし、その動きに合わせて映像を変化させる仕組みだ。

 もちろん対象者は一人に限られるため、何の目的でこのようなプレゼンを行うのか、と言えばそれはインテルの技術を示すため、なのである。この技術、例えば商品広告に利用できるかもしれない。駅などに設置し、通りがかった人が眺めると普通に商品の映像があるが、視点を変えると商品を上から、下から、横から眺めることができる。こちらの動きに合わせて映像商品が動く、というのはかなり斬新な広告になるだろう。

 インテルのブースはこのような遊び心に溢れていた。テクノロジーが日々の生活にどのような変化をもたらし、これまでできなかったことがこれだけ可能になる、という指標を見せてくれるものだった。外に出たインテルはますます面白いアイデアを我々に見せてくれることだろう。

  
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