2022年10月2日(日)

中島恵の「中国最新トレンド事情」

2019年1月29日

»著者プロフィール
著者
閉じる

中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)などがある。

2018年9月23日、香港(西九龍駅)-北京(北京西駅)間に高速鉄道が開通した。総距離は約2000キロ、移動時間は約9時間。1国2制度である香港の街のど真ん中から「中国」に入境すると話題になった鉄道に乗車し、約9時間の列車の旅を体験してみた。*前編はこちら

香港から北京に出発する列車。長距離には「和諧号」や「復興号」という中国の列車が使用される

香港人の係員が「中国語」を話す

 午前7時50分、ようやく乗車するゲートに並ぶ時間がやってきた。中国の高速鉄道はどこでもそうなのだが、プラットホームに降りるゲートが開くのは、発車の10分~15分ほど前になってから。大勢の乗客が一斉に乗りこむにもかかわらず、ギリギリにならなければゲートが開かないので、いつもかなり慌ただしい。

 オレンジ色のウエアを着た係員に促され、近くの待合室に座っていた人々がゾロゾロと集まって列に並び出した。私も一緒に並んだが、そのときの係員の言葉は“中国語”(中国の標準語)だった。すでに出境しているので、ここは地理的には「香港」でも、理論上は「中国」。コンコース内にある掲示なども香港で使われている繁体字ではなく、中国の簡体字だったが、係員の言葉使いには強い広東語なまりがあった。香港人の係員が中国語をしゃべっていることは、その発音から判断して明らかで、しかも彼らは流暢な英語も話していた。コンコースまでくる途中、中国のイミグレーションや税関にいたのは大陸の中国人だったが、なぜ、ここだけまた香港人が担当するのだろうか、と首をかしげた。ちなみに、コンコース内の放送は中国語、広東語、英語で行われていた。

北京西駅に向けていよいよ出発

 プラットホームに降りて、急いで自分が乗る車両を探す。15号車2Aが私の座席だ。先頭車両はビジネスクラスで16号車。15号車が1等で、14号車から後方は2等席となっている。1等は左右2席ずつで15列あったので15号車には60人乗車できる。乗車してみてわかったが、この車両では偶数よりも奇数のほうが、景色がよく見える設計になっていた。2A席は窓側だが、視界は1A席よりも悪い。何しろ9時間もの旅なので風景が見にくいことに少しがっかりしたが、とはいえ、座席は1等だけあってかなりデラックス。前方の座席との間も幅広く取ってあり、ゆったりしている。頭の位置には小さな枕があり、座席の横にはコンセントもついている。新幹線でいえばグリーン車、飛行機ならビジネスクラスくらい快適だと感じた。

1等席は左右2席ずつでかなりデラックス

 車両と車両の間には専用の荷物ラックがあり、ここに数個のスーツケースを収納することができる。この点は日本の新幹線との大きな違いだ(日本でも一部の車両には設置されているが、まだ数が少なく、大きなスーツケースを持って移動する外国人のインバウンド客にとっては不便)。ラックに荷物を置くのは早いもの勝ちで、すべての乗客の荷物を収納することはできないが、飛行機の機内持ち込みサイズと同じく、40リットル以下であれば、座席の上の荷棚に持ち上げて置くことが可能。私は荷物が少ないので、荷物ラックではなく、座席の上の棚に持ち上げた。見渡すと、ほとんどの人が自分の目の届く荷棚に荷物を乗せていた。

多くの人は荷物棚に荷物を置いていた

新着記事

»もっと見る