2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2019年7月2日

5人に1人が在留資格取れず

 留学生が、日本で就職する場合、留学生ビザから就労ビザへと在留許可を変更する必要がある。しかし、実際に許可が出たのは、昨年10月現在では2万7926人が申請して2万2419人で、許可率は80.3%。つまり、内定も決まり、企業も学生も就職を望んでいるにもかかわらず、在留資格変更ができない人が5人に1人もいる。

 在留資格の変更ができない理由は、企業側の受け入れ問題や、学生側が学生時代に週28時間を超えた不正就労をしていたことなど様々あるが、学生として学んだことと、これから働く職業の内容とがマッチしないことで不許可になることもある。

 留学生は来日するに当たり、借金をしている学生が多いという。中には現地ブローカーなどに100万~150万円も払って、借金を背負って日本に来ているケースもある。このため、大学や専門学校に在学中もアルバイトなどに働かざるを得ない学生が多く、少しでも稼ごうとして気が付かないうちに週28時間の限度を超えてしまうこともある。また、卒業した後も日本で働き続けることで借金を返済しようと考えている学生も多く、日本で就職できないとなると、この返済が滞ることになる。そうなると、お金欲しさに認められていない風俗営業などの仕事に走ったりして、強制退去を命じられたりすることにもなりかねない。

 最近は、働いて稼がなければならない学生と、低賃金で人手を確保したい雇用主の事情につけ込んで、偽造された在留資格カードが出回っているという。気が付かないうちに雇用者、学生がこうした違法行為に陥っているケースもあるようだ。管理庁は悪質な仲介業者が違法行為に関与していることについて「在留審査の際に保証金を徴収されていないかどうかの確認を行う。また外国人を送り出す国と日本との間の2国間(現在9カ国)の政府間文書の作成に基づいて情報共有を実施するなどして、悪質なブローカーの排除の徹底と入国審査基準の厳格化を行う」としている。

アプリで労働時間を管理

 在留資格変更が不許可になるケースで多くあるのが、留学生がアルバイトの掛け持ちなどをしていて、本人が気付かないうちに週28時間という限度を超えてしまうケースだという。コンビニと宅配のアルバイトを掛け持ちしていると、雇用主は自分の所の労働時間しか見ていないため分からないことが多い。

 こうしたことを防ぐため、森興産では大学や専門学校に、掛け持ちしているすべての労働時間を管理できるモバイルアプリの導入を働き掛ける。これにより、学校側で留学生個人に紐づけた週単位の合計労働時間を把握し、28時間を超えた場合は、留学生に対してアラートメールを送り注意を促すようにするという。

 留学生が企業に就職した場合のミスマッチを防ぐためにインターン制度の重要性が指摘されている。日本の大学では留学生にインターン制度を導入しているところは少なく、森興産が外国の大学との関係を築くことで留学生の日本企業とのインターンを増やし、ミスマッチを減らしたいとしている。


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